シンドラー製エレベーターで高校生の圧死事故が起こり、マンション共用部分での安全管理が求められるようになった矢先に、今度はナショナル(松下電器産業)の石油暖房機やパロマの湯沸かし器事故など、専有部分でのトラブルが懸念されるようになりました。欠陥が放置され、消費者に事故情報がスムーズに開示されなかったという点では三菱自動車のリコール隠しが社会問題となりましたが、パロマの騒動などは人命にかかわる事柄だけに、他人事として見過ごすわけにはいきません。同じ被害に遭わないためにも、湯沸かし器や暖房機の安全点検が欠かせなくなっています。

85年からの20年間で、事故による死者は21人


今年7月に、経済産業省の公表で明らかになったパロマ工業製の湯沸かし器による一酸化炭素中毒死亡事故。現在も事故原因が特定できないまま、暗礁に乗り上げた状態が続いています。

報道によると、同社の事故は「安全装置の不正改造」と、機器の老朽化などによる「部品の“はんだ割れ”」が原因と考えられています。安全装置とは、湯沸かし器の点火・燃焼と強制排気の両機能を制御する心臓部のことで、点火・燃焼と同時に排気ファンを回し、排気が滞れば燃焼を止める役目をします。ところが、利用者から修理を依頼されたメンテナンス業者が部品不足(在庫不足)、あるいは、修理の手間を省くために安全装置が作動しないよう不正改造してしまった(らしい)というのです。

善良な解釈をすると、「とりあえず、すぐに湯沸かし器が使えるよう応急措置を施した」ということです。安全装置内の基板に“はんだ割れ”(はんだ付けした部分が、はがれてしまうこと)が起き、湯沸かし器が点火できなくなる不具合が多発したため、一時的な措置として、どんな状況でも点火ができよう安全装置の不正改造を行った、というのが事故発生の大まかな経緯です。

 ※asahi.com「パロマ事故」特集より一部、引用しています。

無色・無臭の一酸化炭素  室内のこまめな換気が不可欠


パロマ側は、「事故の原因は安全装置の不正改造にあり、製品自体には問題ない」としていますが、事態を重くみた経済産業者は事故発生の翌月、「パロマ製品に欠陥があった」と認定しており、同時に、再発防止へ向けた法整備に着手し始めています。こうした一連の事故を契機に、今後、さらなる安全対策が推し進められることが期待されますが、我々一般消費者はどのような点に注意すればいいのか気にせずにはいられません。

最近のマンションは特に、高断熱・高気密化しており、木造住宅にくらべ夏は涼しく冬暖かい生活が可能になりました。大変、喜ばしいことです。ところが皮肉にも、こうした高性能化が空気の対流を妨げ、室内環境を悪化させてしまう原因を生み出しているのも事実です。2003年7月に建築基準法が改正され、原則としてすべての建築物に「24時間換気システム」の設置を義務付けたのも、シックハウスという現代病被害があったからです。そこで

  1. 屋内設置型のガス湯沸かし器(給湯器)を使用しているご家庭では、日頃からこまめな空気の入れ替え(換気)を忘れない
  2. おおよそ10年程度が寿命(耐用年数)とされるので、ご自宅の給湯器の使用年数を勘案して適時に点検を行い、その結果、修理あるいは新規取り替えを検討する

といいでしょう。一酸化炭素は無色・無臭のため、発生しても気付きにくい特徴があります。体内に吸い込むと酸欠を起こすそうで、その症状は軽い頭痛から始まり、めまいや吐き気、呼吸障害、意識障害、そして、最後は死へと至らしめるとされています。本人が中毒になりかけていることを自覚できれば打つ手もあるのでしょうが、ほとんどは気付かぬまま手遅れになってしまうのです。それだけに、日々の「危機意識」こそが重要な意味を持つことになるのです。冬本番を間近に控え、より湯沸かし器の“出番”も増えるだけに、わが家の安全管理を見直すことから始めてみるといいでしょう。


 <参 考>
事故を起こした湯沸かし器の型式番号、ならびに、修理対象とされる類型の湯沸かし器型式番号(全7タイプ)


  PH-81F   PH-82F   PH-101F  PH-102F
  PH-131F  PH-132F  PH-161F

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