首都圏マンションの管理費は最寄り駅から近いほど高かった

次に、不動産経済研究所では最寄り駅からの距離(分数)と管理費の関係についても調査しており、その結果は下表のとおりです。

駅距離別のマンション管理費単価

 

見てお分かりのように、全体の傾向として駅からの徒歩時間が短くなればなるほど管理費は高くなっています。2011年の場合、徒歩5分以内(236円31銭)だと全体の平均(216円43銭)より約9.2%割高なのに対し、逆にバス便(185円60銭)だと約14.2%割安になっています。実に興味深い結果といえます。

以上、「総戸数」「建物の階数」、そして「最寄り駅からの距離」という3つの視点で管理費の金額を比較してみました。ご紹介したデータはすべて1平方メートル当たりの「単価」ですので、ご自宅マンションの管理費を専有面積で割った金額(単価)が、今回、紹介した調査結果とどの程度、近似しているかで、おおよその「割安」「割高」度が判別できます。
 

適正金額を把握するには、管理サービスを「個別精査」するのが有効な手段 

ただ、補足があります。ご自宅マンションの管理費と調査データが一致すれば適正な管理費なのかというと、残念ながらそうとは限りません。というのも、こうしたデータはあくまで“平均値”であり、必ずしもすべてのマンションに当てはまるわけではないからです。たとえ総戸数が同じであっても、管理会社が提供している管理サービスの中身が異なれば、当然、管理費の金額にも差異が生じてきます。そのため、単純な数字の比較だけでは管理費の正確な適正度は分かりません。

では、どうすればいいのでしょうか?―― 解決のヒントとしては、管理サービスの中身をチェックすることが重要となります。項目1つずつの金額の根拠を明らかにし、管理費の適正度合いを探っていきます。


  1. まずは管理費の内訳を明確にし、各項目の使途を具体的に確認する。
  2. その各項目の金額がどのような根拠にもとづき価格決定されたのか、その理由を管理会社や製造元に質問してみる。
  3. 質問の答えが管理組合を納得させるだけの説得理由になっているか精査する。
  4. 不安が解消されないようであれば、必要に応じてコンサルタント会社を活用する。

上記のプロセスを経過した後、価格決定の根拠説明に納得できれば「適正金額」と推定し、納得できなければ適正でないとみなすのが1つの解決方法と考えます。たとえば、エレベーターの保守点検費用が毎月10万円(1台あたり)かかっていることが分かったら、どうして1台のメンテナンス費用に毎月10万円が必要なのか、保守点検会社に問い合わせてみるのです。色々と説明してくれるでしょう。そして、その結果に納得できれば10万円という金額は“妥当”と推定するのです。

逆に、納得できなければ価格交渉するなり、あるいは、保守点検会社の変更という方法も考えられます。メンテナンス会社を途中で変更することは、今日では決して珍しいことではありません。管理費は「管理の質」=「サービス内容」によって上にも下にも変動するため、このような『個別精査』をする以外に管理費の適正金額を探る方法はありません。

管理費が高すぎるのは論外ですが、半面、「安ければ安いほどいい」というものでもありません。管理の「質」に見合った対価(管理費の金額)であるかどうかが重要となります。コストバランス(「費用」対「効果」)を見極めることが必要というわけです。本コラムを契機に、さっそくご自宅マンションの管理費の適正度合いをチェックしてみてください。


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