約4割の銀行が「スコアリング方式」で融資審査している
現在、金融機関の約4割でローン審査が「自動化」されています。そして、この自動審査のことを「スコアリング方式」といいます。スコアリング方式とは、本人の属性・融資条件等の各種項目から借入申込者の想定延滞率を算定し、申込者の信用度を格付けした上で、融資するかどうかを決定する方式のことです。
たとえば、「上場企業に勤務しているのでプラス10ポイント」「車のローンが50万円あるのでマイナス3ポイント」というように、勤務形態や年収などの顧客属性を「点数化」することで、与信判定を定量分析する審査方法なのです。
これまでは審査担当者が長年の経験や勘(定性分析)によって、融資申込者の判定を行っていました。ところが、それでは審査に時間がかかり、その上、担当者によって判断結果にバラツキが生じることもあります。そのため、従来の方式では業務の効率化と平準化が損なわれる危険を伴うことになり、年々、スコアリング方式を導入する金融機関が増えるようになりました。審査の「透明性」が高まるという意味で、評価できる傾向といえるでしょう。
融資審査に使われる金利は「一律4%」という事実
次に、融資審査に使われる金利は「一律4%」という暗黙の了解が金融機関にはあります。どういうことかと言うと、たとえば申込み本人が3年固定(仮に2%とする)で当初、借入れ申し込みを検討しているとします。すると当然、本人は金利2%の返済計画をもとに審査されると考えます。
ところが、実際の審査は「一律4%」でシミュレーションすることになっており、どの金利タイプを選ぼうとも“必ず”4%で計算します。そのため、実際の借り入れ希望金利と審査のための適用金利が異なってくることが想定され、特に返済率がぎりぎりの場合など、4%で審査されると条件オーバーになる心配が出てきます。
なぜ、金利4%で試算するのか?……その根拠は定かでありませんが、住宅ローンに愛されるオトナになるためには、「一律4%」という事実を是非とも知っておいてほしいと思います。
クレジットカードは持っているだけで信用枠に加算される
そして最後、信用情報についても知られざる事実をご紹介します。
多くの方がクレジットカードを所有し、しかも所持数は1枚ではないはずです。実は、このクレジットカードにも落とし穴が潜んでいます。というのも、たとえばお持ちのカードに50万円のキャッシング枠が備わっているとします。すると、実際は1円も借りてないにもかかわらず、住宅ローン審査の段階では「50万円を借りている」とみなして審査されるのです。「いつでも50万円が引き出せる」という環境が整っているのが、その理由です。
たとえば、返済能力から計算して、その人の住宅ローン借入限度額が3000万円まであるとします。すると、クレジットカードを所持しているだけで、住宅ローンとしては2950万円(3000万円-50万円)までしか借り入れが起こせないことになるのです。カードの所持数が2枚3枚と増えれば、さらにその分、住宅ローンは減らされることになります。ここに、誰もが気を付けなければならない“隠された”事実があります。
対応策としては、クレジットカードを解約するしか方法はありません。悩ましいところですが、利用頻度の低いカードは思い切って解約するしかないのです。カードを整理する好機と考えれば、いくらか気分も楽になるに違いありません。ぜひ、実践してみてください。
以上、銀行が住宅ローンを貸したくなる人の条件について見てきました。参考にしていただけることを期待します。
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