住宅ローン金利の先安感に、「終わりの始まり」とも取れる兆候が見えてきた
近頃、モデルルームに客足が戻ってきたという話を聞く機会が増えました。まだまだ景気悪化が底割れする懸念は払しょくされず、決して予断を許さない経済状況には変わりありませんが、こと住宅市況に関しては分譲価格の下落期待や住宅税制による購入促進効果、さらに、住宅ローン金利の先高感後退なども手伝い、マイホーム購入には好転ともいえるプラス材料が目白押しとなっています。

こうした消費者心理は数字からも読み取ることが可能で、リクルートが4月27日に公表した「2008年首都圏新築マンショ契約者動向調査」からも読み取れます。特に、販売価格の下落期待に敏感に反応しているのが明白で、“買い時感”が到来していることがうかがい知れます(下表参照)。

しかし、そうした中、住宅ローン金利の先行きに関しては期待を裏切るようなデータが出始めています。というのも、4月・5月とローン金利は2カ月連続で引き上げられており、先高感の“再燃”とも取れるシグナルが見られるようになっているからです。これでは、せっかく戻ってきた住宅市場の活況に冷や水を浴びせることにもなりかねません。はたして再び、本格的な金利上昇時代がやって来るのでしょうか。そこで今回、直近の利上げは「一過性」なのか、それとも「本格上昇への序章」なのか、独自分析してみました。住宅ローン金利の先安感 ――「終わり」の始まりの真相を徹底検証です。

8カ月間続いた金利の先安感が09年3月、終わりを告げる


下記グラフは、みずほ銀行の「5年」「10年」「20年」固定期間選択型住宅ローンの店頭金利の推移です。見ての通り、2008年7月にピークに達し、その後、ダウントレンドへと軌道修正された金利は今年(09年)3月に底を打ち、再び、上昇に転じているのが分かります。さらに、固定期間別に詳しく分析すると、その上昇幅は固定期間が長くなるほど顕著(上昇)になっており、金融機関が長期タームでの金利上昇を見込んでいることが読み取れます。

「5年」「10年」「20年」各固定特約金利の推移 (単位:%)
(出所) みずほ銀行

人気の高い「10年固定特約金利」を例に取れば、3000万円を35年元利金等返済で借りたとした場合、09年3月(3.55%)には毎月返済額が12万4857円(ボーナス返済ゼロ)だったものが、5月(3.90%)には同13万1038円と、6181円の負担増となります。「たかが6000円」と割り切れればいいのですが、「されど6000円」というのが大方の感想ではないでしょうか。せっかくもらった定額給付金(1万2000円)が2カ月で消える計算です。

決して焦ることはありませんが、金利は生き物です。延々に上がり続けることも、下がり続けることもありません。絶えず変化します。それだけに、金利の先安感に過剰な期待をせず、リスクシナリオを描いていくことも必要でしょう。おそらく、来年の新築マンション契約者動向調査では、「金利の低さ」を買い時の理由に挙げる人の割合は大きく減少するに違いありません。2010年のマンション環境は、今年(09年)とは大きく異なっているような気がしてなりません。

すべての購入理由のうち、下記理由が占める割合の四半期別推移
(出所) リクルート「2008年首都圏新築マンショ契約者動向調査」   (単位:%)