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リーマンショックが住宅不況を加速させる?

日本で上場不動産会社の破綻が相次いだかと思うと、今度は海の向こう米国では、大手証券会社が経営難に陥る事態が続きました。米国発の金融不安が日本の住宅市場にどのような影響を与えるか、予想してみました。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド


リーマンショックが「住宅不況」を加速させる(?)
今春に入り、国内で不動産業者の大型破たんが相次いだかと思うと、今度は海の向こうアメリカで大手証券会社の経営難が次々と明るみになりました。そう、リーマンショックです。

思い起こせば、日本でも1997年(平成9年)11月に山一証券が自主廃業、また、三洋証券が経営破たんするという「金融危機」を経験していますが、米国発のサブプライムローン問題が“これほど”まで根深いとは、正直、想像もしませんでした。

「アメリカがくしゃみをすると、日本が風邪を引く」と言われるように、リーマンショックは少なからず日本へも影響を及ぼすに違いありません。報道によると、「レオパレス21など4社が18日までにリーマンが発行した債券などを保有していることを表明。債務不履行で損失を被る公算が大きい」(日経新聞9月19日)としています。すでに余波は金融以外の日本企業にも広がっているのです。

ただでさえ不況の嵐が吹き荒れ、弱体化しつつある日本の住宅市場。米国金融市場の緊張・混乱が日本に襲いかかって来たら……。良からぬ想像をしてしまうのは、私、ガイドだけではないでしょう。そこで今回、日本の分譲マンション市場への影響はあるのか・ないのか、 想定されるシナリオを独自の観点でまとめてみました。「逆風はもうしばらく続く」――この一言がすべてを物語ります。

業界TOP5のうちの3社が経営危機に直面する


まずは、米証券業界のドタバタ劇の中身を整理しておきましょう。今回、騒動が「世界同時株安」を招くほど金融市場を動揺させたのは、業界3位の「メリルリンチ」が米大手銀「バンク・オブ・アメリカ」に買収(救済合併)され、他方、経営難に陥っていた業界4位の「リーマン・ブラザーズ」は自主再建を断念。連邦破産法の適用を裁判所に申請し、経営破たんするという業界地図を塗り替えるほどの惨劇が起こったことに端を発します。

実は、半年前の今年3月、業界5位の「ベア・スターンズ」が米大手銀「JPモルガン・チェース」に買収されるという事態が現実のものとなっていました。この頃から、信用不安がくすぶっていたわけです。米証券業界TOP5のうちの3社が経営の危機に直面するという異常事態。サブプライム問題の恐怖を改めて思い知らされると同時に、混乱が収まるには相当の時間が必要なことを連想させます。

<米証券業界の勢力図>

 第1位 ゴールドマン・サックス
 第2位 モルガン・スタンレー
 第3位 メリルリンチ ← バンク・オフ・アメリカに買収される
 第4位 リーマン・ブラザーズ → 破産法を申請する
 第5位 ベア・スターンズ ← JPモルガン・チェースに買収される

米商務省が9月17日に発表した8月の住宅着工件数は、季節調整済みの年率換算で89万5000戸となり、2カ月連続で減少しました。この数字、約17年半ぶりの低水準だそうです。金融機関のバランスシートが悪化しているのは、言うまでもなく住宅ローン債権の「不良資産化」を原因とします。それだけに、住宅価格が下げ止まらない限り、景気減速懸念を払しょくすることはできないでしょう。アメリカの住宅市場が底入れするのは、一体、いつになるのか?……とても気になるところです。


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