マンション市場に「雪解け」の季節が来るのは、一体いつなのだろうか?
帝国データバンクが今年6月に発表した「改正・建築基準法関連倒産の動向調査」によると、2007年10月~2008年5月までの8カ月間に、改正建築基準法を原因とした建設会社などの倒産は累計で81件(負債総額1174億7300万円)にのぼったそうです。この数字、「多発」という表現をせざるを得ないほどのひどい状況で、不動産および建設業界の停滞ぶりが伺えます。

思い起こせば、2006年秋頃には「ミニバブル」と称され、東京都心部を中心とした新築マンション価格は、めざましい勢いで値上げされました。その背景には、不動産ファンドなどによる資金の流入があり、地上げの原動力になっていたことは、ご存じの通りです。

ところが、状況は一転。今年に入り、“倒産の連鎖”が現実のものとなりました。わずか1年半の間に、ここまで市況が悪化するとは、誰しも想像しなかったに違いありません。バブルとは、文字通り「泡」のこと。「実態を伴わない泡のような加熱ぶりは長続きしない」……こうしたことを、我々消費者に語りかけているようにさえ感じられます。今後、不動産業界はさらなる負のスパイラルが予想されます。こうした中、各業者はどのように生き延びていくのか? 今回は、倒産が止まらない業界不況の現状を探ってみました。

契約者の皆さん! 販売価格を「1割」お安くします


数日前の日本経済新聞に、とても興味深いニュースが掲載されていました。「大京など不動産大手、マンション在庫値下げ 最大1割安」という見出しの記事です。


 マンション分譲大手の大京、ダイア建設は完成在庫物件の値下げ販売を始める方針を明らかにした。下げ幅は物件により異なるが、最大10%となる見込みだ。マンション需要の冷え込みに対応。地価や資材価格の上昇により建設コストが拡大する中での異例の値下げで、膨らむ在庫の早期処分をめざす。 一部の売れ残り物件を個別交渉で値引きする例はこれまでもあったが、完成在庫をほぼ一斉に値下げするのは珍しい。

(日本経済新聞 2008年6月22日より転載)

私、ガイドはかつて分譲マンションの営業をしていましたので、業界の内情は知っているつもりですが、「値引きを公表する」という販売スタイルは経験したことがありませんでした。個別での価格交渉はありましたが、あくまで「1対1」での話だったわけです。

報道によると、完成在庫をほぼ一斉に値下げするとのこと。販売開始後に値下げを公表するということは、すでに契約済みの入居予定者にも値下げ相当分を還元しなければならなくなります。当然のことですが、分譲マンション業者にとっては、その分、売り上げが減少することになります。企業業績を低下させることにつながるのです。それでも、値下げせざるを得ない厳しい現実。今回の断行(値下げ公表)は、相当の切迫感を持っての決断だったに違いありません。

以下に、倒産企業の一例を挙げてみました。スルガコーポレーションは今年3月、自社所有ビルの地上げを暴力団との関係がある不動産会社に依頼していたことが判明し、一躍、その名を広めることとなりました。反社会的勢力との関係が報道され、銀行からの資金調達や不動産の売却が困難になったことが一因とされています。改正建築基準法などの悪影響による、いわゆる「不動産不況」を直接の原因とはしませんが、負債総額は620億円。ケタ違いの大型倒産です。

企業名業務内容破たん状況
 グレイス 神奈川県の中堅マンション分譲業者 自己破産を申請(08年1月)
 近藤産業 「メロディーハイム」のブランド名を持つ大阪のマンション分譲業者 大阪地裁に破産手続きの開始を申請(08年5月)。負債総額は約322億円。ゼファーの連結子会社でもある
 セントラルサービス 大阪のマンション分譲・管理業者 大阪地裁に民事再生手続きを申請(08年6月)。負債総額は約40億円
 ウベハウス 鳥取県の住宅メーカー 東京地裁に民事再生手続きを申請(08年6月)。負債総額は約55億円
 スルガコーポレーション 商業ビルやマンションの施工・分譲・賃貸・管理・仲介業務など 東京地裁に民事再生手続きを申請(08年6月)。負債総額は約620億円。7月25日に東証2部から上場廃止される予定

(2008年6月26日現在)


今後、淘汰の波に押しつぶされ、経営破たんに追い込まれる企業は増えていくのでしょうか?……これからの成り行きが気になります。