住宅ローンが払えなくなると、自宅は差し押さえられてしまう
現在、分譲マンションにお住まいの読者の方は、そのほとんどが住宅ローンを組んでいることと思います。金利が高いときに借りてしまった人、逆に、低いタイミングで借りられた人、実際の適用金利は様々でしょうが、それでも誰もが延滞しないよう家計をやりくりしながら、必死になって毎月のローンを支払っているはずです。

しかし、何らかの理由で返済が滞ったとしたら、その後は一体どうなってしまうのでしょうか? 会社の倒産やリストラ、病気や交通事故、さらには、金利上昇による返済額の急増など、支払いを遅らせる要因は“日常的”に潜んでいます。

そこで今回は、ローンが支払えなくなると、なぜ、自宅が差し押さえられるのか?……住宅ローンに潜む担保物権「抵当権」について触れたいと思います。抵当権が設定されると、恐ろしい「呪縛(じゅばく)」に取り付かれることになるのです。

10人に1人が家を失う(?) 「マイホーム難民」発生の恐怖


ニュースで目にしない日はないほど、今もって猛威を振るい続ける一連のサブプライムローン問題。米国で端を発した低所得者向けの住宅ローンが、一国の域を超え、世界の金融市場を動揺させています。

ご存じ、サブプライムローンとは信用力の低い人向け住宅融資のこと。同ローンの多くは変動金利となっており、また当初数年間、低めの適用金利を採用し、その後、段階的に金利を上げる「ステップアップ型」となっているのが特徴です。

住宅ローンを貸す側からすれば、(大変失礼ながら)低所得者を相手にするため、その分、少しでも未回収リスクをヘッジしようと、高金利で貸し付けたいと考えます。一方、借りる側も通常の住宅ローンが借りられない以上、金利が高めでもマイホームを取得するには、サブプライムローンを利用せざるを得ません。そこで、両者の利害関係が一致し、サブプライムローンは利用者数を急増。現在ではそのシェア、米国住宅ローン全体の15%程度を占めるまでになっています。

ところが、サブプライムローン利用者は住宅価格の上昇を期待した“借り換え前提”の返済計画を立てています。そのため、価格上昇がダウントレンドへ方向転換すると、予想に反して借り換えが進まず、途端に、今度は支払いが滞るようになってしまいます。多くの人がマイホームを手放さなければならない状況に追い詰められるのです。

サブプライムローンの延滞率と抵当権実行率
 60日以上の延滞率抵当権実行率
2004年発行分12%5%
2003年発行分8%4%
2002年発行分42%11%
2001年発行分41%7%
2000年発行分28%8%
1999年発行分25%6%
1998年発行分19%4%
1997年発行分15%6%
(出所)東洋経済新報社「金融ビジネス」2007年 SPRINGをもとに筆者が編集 

上表は、米国サブプライムローン大手の「ニューセンチュリー」が1997年~2004年に発行したサブプライムローンのうち、2007年時点での「60日以上の延滞率」と「抵当権実行率」を年次別にまとめたものです。発行年によってバラツキはありますが、2002年発行分では抵当権実行率が10%を超えているのが分かります。実に、10人に1人が家を失っている計算になるのです。

おそらく、今後はさらに悪化の道をたどるのでしょう。米国では“マイホーム難民”が続出することが予想されます。


このように、滞納者には容赦なく襲いかかる「抵当権」の恐怖。抵当権とはどういう権利なのか、次ページで詳しく見て行くことにしましょう。