「空気と安全はタダ」は過去のもの(?) |
スピードオーバーで急カーブを曲がりきれずに脱線、死者107名を出した「公共交通」の安全崩壊(JR福知山線)。期限切れの材料を使って洋菓子を製造・販売してしまう「食品」の安全崩壊(不二家)。さらに、週末の日曜日、歩行者天国を歩いているだけで人命を奪われてしまう「治安」の安全崩壊(秋葉原の連続殺傷事件)など、「病んでいる」としか思えない日本社会の“負”の側面が、至るところで露呈しています。
そして今回、本コラムで取り上げるのが「住」の安全崩壊です。2005年11月に発覚した耐震強度偽装事件によって、住の安全神話は音を立てて崩れ去りました。そのため、“姉歯ショック”を繰り返さないよう、事件から1年7カ月後の2007年6月に建築基準法が改正。構造計算のチェック体制を重層化したり中間検査を義務化するなど、建築確認・検査の厳格化が行われました。再発防止に向けた法的枠組みが整えられることとなったのです。今日、紹介する第二のヒューザーを生まないための法律「住宅瑕疵担保履行法」も、同じ枠組みを形成する法律の1つです。
「法律」と聞くだけで、眉(まゆ)をひそめる人もいるでしょう。しかし、賢いマンション暮らしを実践する上で、欠かすことのできない法律です。今回、シリーズで同法について平易に紹介したいと思います。どうか敬遠せずに、最後までお付き合いください。
姉歯ショックから2年7カ月 主犯格の“今”は?
まずは、耐震偽装事件から2年7カ月、主犯格の面々は“今”どうしているのか見ておきましょう。当該事件に絡む主な裁判結果をまとめたのが下表です。
刑の確定日 | 被告人 | 判決内容 | 訴訟理由 | 2006年10月18日 | イーホームズ(廃業)藤田東吾懲役1年6カ月、執行猶予3年 | 電磁的公正証書原本不実記録・同共用罪(架空増資) | 2007年8月10日 | 木村建設(破産)木村盛好懲役3年、執行猶予5年 | 詐欺罪、建設業法違反 | 2008年2月19日 | 元一級建築士姉歯秀次懲役5年、罰金180万円 | 建築基準法違反、議院証言法違反(偽証) | -----ヒューザー(破産)控訴中 | 詐欺罪 | (2008年6月13日現在)