「お~いお茶 濃い味」がサブブランドで登場
竹一色の背景が印象的な伊藤園「お~いお茶 濃い味」 |
カテキン400mg入りの伊藤園「お~いお茶 濃い味」が店頭に並んでいます。そこにはどのような思惑が隠されているのでしょうか?
緑茶飲料は、嗜好性と健康性に絞られてきた。
前回のコラムで、緑茶飲料のニーズは、嗜好性と健康性がより明確になったとお話しました。前者が「サントリー 緑茶 伊右衛門」の登場であり、後者が「花王 ヘルシア緑茶」でした。その結果「お~いお茶」や「生茶」などの既存ブランドの地位を脅かすまでとなっています。「濃い味」はそうした背景から2つの思惑があって発売されたように思えます。
「お~いお茶 濃い味」の2つの思惑
1.だるま落とし戦略(健康性の同質化)
伊藤園は今回サブブランドとして、「濃い味」を発売しています。
No.1ブランドだけが選択できる戦略の1つに、市場の同質化があります。
お~いお茶のメインブランドは変えることなく、サブブランドとして「ヘルシア緑茶」をはじめとした高カテキン緑茶飲料との同質化を図ったのが「濃い味」です。
ヘルシア緑茶は、量が350mlで価格が180円であるのに対して、「濃い味」は500mlと量が多く、価格は30円ほど安いです。カテキンの含有量はややヘルシア緑茶が上です。
よほど健康にこだわるコアユーザーであれば、ヘルシア緑茶を手放すことはないでしょう。しかしほどほどに気になるという程度のユーザーであれば、ブランドスイッチを誘引することは考えられます。こうしてヘルシア緑茶のブランド価値が確立しないうちに、だるま落とし式に「ヘルシア緑茶の独自性」を最小化して、最後には市場そのものを同質化させる。
これが、第一の思惑であると思われます。
2.イメージ刷り込み戦略(嗜好性イメージの同質化)
「お~いお茶 濃い味」の広告ポスターを見ると、背景が「竹一色」になっています。
私には「サントリー 伊右衛門」に対する嗜好性イメージの同質化を図っているように見えました。嗜好性という部分では「伊右衛門」と「濃い味」では好みがわかれるところでしょう。それは「伊右衛門」が手間ひまをかけて開発されたおいしさであるだけに、そう簡単には追随されない要素となっているからです。
しかし「おいしいと感じるイメージ」というのが、人間にはインプットされています。自然の恵みであったり、素材へのこだわりであったり。
「伊右衛門」では、パッケージの竹筒状にすることで、さらにおいしさのシズル感を演出しました。おそらく「濃い味」の広告ポスターの思惑は、このイメージの同質化がある程度念頭にあったのかもしれません。
これが、第二の思惑ではないかと思われます。
このような思惑が働いた背景とは一体何でしょうか?
次ページでガイドが思うところをお話します。