1.【価格】相場は6,000~12,000円前後
女性用水着の場合、相場は6,000~12,000円前後といったところです。それに比べれば、ユニクロ水着は1,000~2,990円ということなので、破格に安いです。この価格で他メーカーが追随しようとすれば、ユニクロと同じ生産モデルを構築せざるをえない上に、現在主力で売っている1万円前後の商品にあまりよい影響を及ぼしそうにありません。価格ではユニクロに勝算がありそうです。
2.【ターゲット】ユニクロの水着を買いそうな人とは?
水着の市場規模は1,100億円といわれます。ユニクロは最低でもシェア5%を目標にしているのだそうです。つまり55億円。仮にユニクロ水着の平均単価を1,500円とすると、約370万枚販売する計算になります。これまでの水着市場を支えてきたのは、水着をファッションと捉える女性層です。化粧品があまり安いと売れないように、水着もファッション重視のターゲットにとっては、繊細なデザイン・着用感・フォルムなどが求められるので、セカンド水着としてはありえそうですが、メイン水着としてユニクロの水着に手が伸びるかどうかは何ともいえないところです。
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それではユニクロ水着をメイン水着として、誰が買うのでしょうか?
実ターゲットとして考えられるのは、むしろこれまで購入喚起されていないファミリー層かもしれません。現に子供用の水着も販売するとのこと。雰囲気としては、子供の教育費や住宅ローンなど他の支出がかさむ中、夏休みに海水浴場に遊びにいく小さなお子様連れのご家族の風景が実際のコアターゲットとして浮かんできます。
また夏休みは公営施設・学校・遊園地などでもプール開放がありますから、スクール水着では飽き足りない子供たちとその親が、ユニクロの水着を着用する可能性もあります。遊泳用だけでなく競泳用も販売しているあたりに、部活などの学校シーンも想定した戦略意図が伺えます。
ただ、コミュニケーション戦略上は、若い男女の着用シーンを中心としながら、その周りに子供やミドル・シニア層を置いていくといういつものユニクロ戦略をとっています。
そういった意味では、既存市場に参入するというよりは「ニューファミリー水着市場」という新たな市場を開拓できる可能性があります。意外と化けるかもしれません。
それでは次ページで【価値】の視点をみていきます。