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戦後ベビーブームに生まれた「団塊の世代」の定年 望まれる技術の伝承・2007年問題(2ページ目)

技術の伝承が急がれる。2007年に、戦後ベビーブームに生まれた「団塊の世代」の定年が、ピークを迎えるのである。ベテラン技術者世代の引退に備え、後継者の育成やノウハウなどの継承が重要になっている。

執筆者:木村 勝己


バックグラウンドの重要性

長い間におけるこの業務の分担は、ベテランSEのスキル及びノウハウが、若手SEへ十分継承しきれないまま現場を去ってしまうことを意味する。今後の企業システムのメンテナンスが困難になることが危惧されているのだ。

システム構築や運営において、処理の手順や約束事はSEとユーザーとのやり取りの中で、最適な方法を探りながら進められてきている。それは理論的や理屈上最適なものではなく、その時代のいろいろな背景を考慮し、ユーザーの抱える問題を考慮し構築されたものである。消費税の導入時や2000年問題でのシステム対応など、社会的要求にも対応してきている。

新しいシステムの導入や、決済方法の追加やシステムの統合といったものを、システム構築時のバックグラウンドがわかっていないで進めると、思わぬ問題が噴出すことになる。

みずほ銀行・UFJ銀行の統合問題

有名な事例としては、2002年、みずほ銀行合併時の大規模なシステム障害である。ATMの停止や公共料金等の二重引き落としなどのトラブルを起こし、信用問題になっている。

UFJ銀行は2002年の合併時に基幹システムを統合した。旧銀行の顧客が、統一された商品・サービスを受けられることを目指したものであるが、二重引落などのシステム障害が発生し社会問題となった。

この原因としたはいろいろ考えられるが、大きなものとしてベテランSEからの技術の継承の問題が指摘されている。実際、情報システムの統合作業自体はベテランSEでなく若手SEや外注業者が中心となって行ったといわれる。

この2007年問題はIT業界だけの問題ではない、製造業でも「モノづくり」の現場を支えてきたベテラン技術者の退職は、技能の伝承を上手く進めておかないと、日本の製造力に不安を残す形となる。

それは次ページのような事例がヒントを与えてくれる。
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