主婦の発明として有名なものに“地下鉄乗り換えマップ”がある。二児の母親である福井さんの体験から考えられたものだ。
夏の暑い日、彼女は子供をベビーカーに乗せてショッピングに出かけていたが、乗り換えで地下鉄の中を歩いているうちに、子供がぐったりしてしまったそうだ。このとき主婦やお年寄りが楽に乗り換えできるマップがあればとの思いが浮かんだ。
地下鉄乗り換えマップ写真提供:(社)発明学会
東京の地下鉄の階段やエスカレーターをすべて自力で調べ上げ、車両のどの辺に乗れば、乗り換えが楽に出来るかがわかるマップを作ったのである。自分だけでなく周りの人も楽に乗換えができるようにとの思いからである。
家族への愛情が生んだ偉大な発明
工事車両の車輪に使われるキャタピラーはキャタピラー社の登録商標であり、通常は無限軌道といわれる。
これは日本人の発明といわれ数人の名前があがっているが、どうも高松梅治氏の発明の可能性が高い。高松氏の実験を見たイギリスの駐在員が本国に急報して戦車に採用されたようだ。日本の軍や政府には無視されたとの話しがある。
この発明のきっかけは悲しい感じがある。高松氏が妊娠中の妻を大八車に乗せて病院へ連れて行く途中、道路の凸凹で大八車が激しく揺れ、お腹の子どもを流産させてしまったそうだ。
子供を亡くして悲しいながらも妻や子供への責任を感じた高松氏は、凸凹道でも揺れないで移動できる方法を考える。同じような悲劇を繰り返してはならないとの思いから発明されたのが無限軌道である。
このように見てくると、家族や周りの人の苦労や悲劇を繰り返さないようにとの思いは、アイデアを生み出す大きな力になるということだ。
そしてバリアフリー商品には次ページのように愛情がいっぱいである。