中村修二・米カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授が、青色発光ダイオードの発明時代の古巣・日亜化学工業を相手に訴訟を起こしたものである。
≪青色発光ダイオード≫写真:日亜化学工業(株)
発明の相当の対価に200億円
この1月30日の東京地裁の判決は大手ハイテク企業に衝撃を与えた。その発明の対価は中村氏の請求通りの200億円との判決だ。日本では今までに類のない高額である。産業界ではこれから多くの議論がなされそうだ。
中村氏が日亜化学を東京地裁に提訴したのは2001年8月である。これは特許権の帰属の問題や、権利を譲渡した場合の相当な対価の額について、問題を提起したものである。
当初は相当な対価を20億円で請求していたが、その後100億円に拡張し、さらに200億円に拡張している。
ノーベル賞級の発明
光の三原色(赤、緑、青)を発光するダイオードのうち、青色は最後の発光色としてその開発が凌ぎを削っていた。20世紀中の開発は困難とされていたが、日亜化学時代の中村氏は他社をリードして、この実用化に目処をつけたのである。
この時の多くの発明は、職務発明として会社に譲渡されたとなっているが、当時の取扱いもあいまいであったこと、報奨金も2万円という額であり、ノーベル賞級の発明としては少なすぎることが争点になった。
そして東京地裁より出された中間判決は、次ページのように日亜化学の勝利であった。