映像は光の三原色により殆どの色を再現できるが、嗅覚情報はこれを構成する匂いの元素が明らかになっておらず、単純な匂いの元素の組み合わせで色々な香りを再現させるのは難しいとのことであり、香り合成はこれからの研究課題といえる。
任意の香り合成の期待
アメリカ最大のコンピュータ製品の展示会であるCOMDEXで、香り伝送のデモ展示をしたデジセント(DigiScents)は、サメの背びれのような形をした"iSmell"という香り合成装置で人気を博した。
匂いの元となるカートリッジを内蔵しているのは、他の方式と同じであるが、数種類の匂いの元を組み合わせて、多くの香りを再現できるという。光の三原色からあらゆる色を再現する概念に近づいており、これからが期待できるところだ。
期待される研究成果
東京大学先端科学技術研究センターやNTTなど産・官・学それぞれで、研究が進められており、これからの研究成果に目が離せない感じである。
応用としては、Eコマースで画像サンプルの香水や紅茶の香りを確認できたり、バーチャルリアリティでは環境に応じた香りが臨場感を与えてくれそうだ。化粧品の広告やアロマセラピーなどで、よりリアルな表現が可能になるだろう。
教育でも植物図鑑で名前と共に香りが確認できたり、医療では朝、昼、夜と別の香りを伝送して、長期入院患者の生活感覚を回復することもできるようだ。
そしてゲームなどのエンターテイメントでも期待される。ゲームのシーンに応じた香り、たとえば戦いの中で壊した水槽からの海水の匂いとかも、ゲーム感覚を刺激しそうである。今後多くの応用が考えられ楽しみな分野となりそうだ。
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