1985年の通信自由化により携帯電話市場に投入されたのは、肩から大きな箱を吊り下げて利用するショルダー型の携帯電話。今の携帯電話しか知らない人には信じられないほどの大きさだった。その後、NTTのムーバシリーズの登場により加入者が激増するまでに5年以上もかかっている。
ムーバシリーズと言えばお気づきの方も多いだろう。低料金制の導入、利用領域の拡大のほか、新しいバッテリーによりポケットに入る大きさにまで小型化、軽量化を実現したことが加入者増加に大きく貢献した。
電動アシスト自転車の場合も同じだ。車体、駆動部での軽量化には限界がある。発売当初、重いバッテリーを装着すると車体の総重量は30kgを超えた。持続時間の短いバッテリーが走行途中に切れることを考えると、購入したくても躊躇してしまう。
その後、バッテリーの技術の進歩とともに容量アップと軽量化が進み、今では18kg台の商品も出ている。バッテリー技術の進化が電動アシスト自転車の商品価値を高めたことは言うまでもない。
デジタル製品の発展が自転車をヒットさせた
日本の電機メーカー各社は携帯電話、ノートPC、PDA、デジカメなどの急成長マーケットをにらんでバッテリー技術の開発にしのぎを削ってきた。バッテリーの進歩なくして有り得なかった電動アシスト自転車のヒットが、これらデジタル製品の発展と無関係だとはいえまい。ヒットが90年代後半になった理由はここにある。
コードレス掃除機 |
掃除機本体が軽量コンパクトになり、かわいいデザインも手伝って主婦の人気を得ている(写真提供:三洋電機株式会社) |
新技術の応用がヒットを生む
このように見てくるとヒット商品の裏には、コアとなる技術やキーコンポーネンツの出現があることに気付く。新しい技術が生まれると、それが既存の製品に応用され、商品開発へのブレイクスルーが誘発される。
一見、革新的とは思えないバッテリー技術の進化は商品開発にインパクトを与えた。この他にもコアになる商品の開発や新素材といったものに注意すると、ヒット商品の出現が予測できそうだ。