ただこの間も中の電子回路は時間を刻み続け、再び腕に装着され発電が開始すると、正しい時刻の表示ができるのである。この時計のものは現在生産中止のようであるが、虫型ロボットなどにこの技術が応用されている。
熱電素子を利用
発電にはゼーベック効果を利用している。種類の異なる二つの金属や半導体素子を対にして温度差を加えると、その両端に起電力が生じるものだ。
熱発電の説明図写真提供:シチズン
シチズンの説明によると、熱電対一対の発電量は、約0.4mV/℃と非常に小さく、これを1242対直列に配列して電圧を稼いでいるそうだ。得られる起電力は1℃あたり約0.5Vであり、3℃以上で時計に必要な電圧が得られることになる。
外気が体温より低いことを想定しており、夏の野外では内臓の二次電池に頼ることが多くなりそうだ。
発電力アップも進む
熱発電の電圧アップの開発も進んでいる。体内埋め込み型IDチップ開発をしている、米アプライド・デジタル・ソリューションズは、コインより小さなサイズのものを2002年7月9日に発表した。
これは体熱発電装置の電圧を、1.5ボルトから3ボルトにアップすることに成功している。腕時計や医療機器への利用を推進するとのことである。
この原理の発見は次のようにゼーベックによりなされたものだ。