マーケティング/マーケティング事例

期待させると逆に満足度が下がるって本当?

企業がマーケティングにおいて顧客に期待を抱かせることは当然の活動ですが、場合によっては逆に顧客の満足度を低下させることに繋がる場合があります。果たしてどんな場合顧客の満足度は低下するのでしょうか?

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

顧客に期待を持たせることに注意
チラシなどで顧客に期待を抱かせると満足度を下げることがあるので注意が必要!
マーケティングにおいて企業は顧客に期待を抱かせて売上を上げる手段を講じています。顧客は企業の商品やサービスに期待して購入を決定していますから顧客に期待を抱かせるのはある意味企業側にとっては当然の行為と言えるでしょう。ところが顧客に期待させると逆に顧客満足度が低下してしまうこともあるので注意が必要です。今回は事例を検証しながらどのような場合に顧客を期待させることが逆に満足度の低下に繋がるかを見ていくことにしましょう。

ささやかなプレゼントの告知を行って顧客満足度を下げたお店の話

あるお店では、数日後に期限の切れてしまうレストランのデザート無料券を大量に手に入れたため、顧客にサービスしようと買い物をしてくれたお客様には先着でデザート無料券を配ることをチラシで告知しました。このチラシの効果があってか、通常よりも多くのお客様が来店し、「有効期限が迫っているのですが・・・」と一言伝えデザート無料券を配布したのですが、お客様の反応は2種類に分かれました。

一つのタイプはデザート無料券をもらい、「ありがとう」と店員に感謝して帰るお客様。そしてもう一つのタイプはなんと無料のデザート券をもらったにも関わらず、クレームをつけるお客様だったのです。「期限切れ間近の商品券を配ってどうするんだ」とか「こんな期限切れ間近の商品券をおまけにするくらいならもう少し商品を安くしたらどうだ」など通常の営業時に比べて予想外のクレームを受けることになりました。よくよく調べてみると感謝してくれたお客様はこのような特典があることを知らずに来店して、たまたまプレゼントを手にした人達で、クレームをつけたお客様はチラシを見て自分の中で過度の期待を膨らませて来店した人達だったのです。

私達の日常生活の中でも誕生日やバレンタインデー、ホワイトデーなどのプレゼントをもらって当然の日に期待していたプレゼントをもらっても、事前に期待していた分、感動は少なくなりますが(逆に当然もらえるはずのものがもらえなかった場合は失望感が高くなります)、一方で何の前触れも無しに突然もらったプレゼントは期待してなかっただけに感動する気持ちが一際高くなった経験はないでしょうか。

マーケティングの世界でも原理は同じで顧客に期待させればそのサービスを提供して当たり前と思われますが、思いがけないサービスを提供すれば顧客は期待していなかった分満足度を向上させることができます。つまり、企業が同じサービスを提供しても事前に知らせるか否かで顧客の満足度は大きく変わってくるということです。

今回の事例でも顧客は事前にレストランのデザート無料券をもらえるということで期待して来店したお客は有効期限が短いという期待はずれの結果に不満をもらし、全く知らなかったお客は突然のプレゼントに予想外のお得感を感じて感謝したというわけです。

他にもまだまだある顧客の期待を高めたばかりに失敗する事例とは?・・・次ページへお進み下さい!
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