乾電池の実用化に成功
液漏れについて3年間に及ぶ苦心の研究の結果、陽極の炭素棒をパラフィンで煮ることによりその問題を解決し、ついに実用的な乾電池を完成させたのである。
1892年のシカゴ万国博覧会に出品された地震計に、この乾電池が採用され好評を博したようだ。
特許出願の必要性についての教訓
しかし残念なことに、手持ち資金のなかった屋井は特許出願をしていなかったのである。そのためこの博覧会の翌年にアメリカから輸入された乾電池によって、日本の市場を奪われることになった。
世界初の乾電池の発明者・屋井先蔵の名誉も逃す結果となってしまったのである。
先発明主義のアメリカである、今なら訴訟により屋井の発明にすることは可能だと思うが、当時はそのような余裕もなかったということだろう。しかし屋井の発明の事実は、日本人として大いに誇れるものだ!
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。