マーケティング/マーケティング事例

人口減少時代の到来!その時マーケティングは?(2ページ目)

日本の出生率は2004年に1.29と過去最低を記録し、2007年には本格的な人口減少時代の到来が予測されています。人口減少=市場の縮小ですが、このような時代に企業が採るべきマーケティング戦略とは?

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

子供向け市場縮小!企業が採った起死回生の策とは?

この減少傾向に危機感を抱き、歯止めをかけようとヤマハが実施したマーケティング戦略がターゲットを子供から大人へとシフトさせるということでした。この戦略が功を奏し、これまで子供対象に募集をしていたピアノ教室を大人にまで広げると、「子供の頃に習ったが、もう一度ピアノを演奏してみたい」「ピアノ教室を通して新たな友達を作りたい」という、比較的時間にゆとりのある大人のニーズを捉え、今では一つの新たなマーケットとして売上の落ち込みをカバーするにいたりました。

また、ターゲット顧客をシフトすることで成功を収めた事例はピアノ教室だけではありません。江崎グリコもターゲットを大人にシフトすることによって成功した企業です。グリコといえばおまけ付きキャラメルが有名ですが、このおまけを大人向けのおもちゃに変更し、タイムスリップグリコというネーミングで販売したところ、売り切れ店が続出。大人のグリコブームに火がつきました。このような懐かしのおもちゃは30代、40代の世代が子供の頃買えなかったものを資金的な余裕ができたから購入するという理由で今では大きなマーケットが形成されていて、そのようなターゲット顧客の心を掴むことにグリコは成功したと言えるでしょう。

人口減少時代には大人向け市場にも著しい変化が?!

人口減少時代のマーケティング
100万円の超豪華旅行も飛ぶような人気!
また、この人口減少時代は子供対象のマーケットだけでなく大人向けのマーケットにも変化が見られます。これまで日本人の多くは子供のために多くのお金を使ってきました。統計によれば子供一人にかかる教育資金だけで最大2000万円にまで上ります。少子化により子供の数が減るということは、これまで子供のために使っていたこれらの資金を大人たちが自分のために使えるようになることを意味しています。これらの資金負担がなくなった現代の大人は自分の趣味や贅沢のためにお金を消費するようになったのです。

たとえば日本旅行が今年の9月に発売した、日本1周100万円バスの旅は「日本三景」の他、世界遺産に登録された日光東照宮、白川郷などを26日間かけて巡るツアーですが、発売と同時に次々と予約が入るほどの人気ぶり。このような傾向はこれまでの大量生産・大量消費のより安い物を購入する時代から、価格が高くても自分にとって価値のあるものを選択する時代の表れではないでしょうか。

これらの成功事例が物語るように人口減少時代には、ターゲットとなる顧客の対象を見直したり、より付加価値の高いこだわりの製品を提供したりといった環境に合わせたマーケティング戦略の転換を図ることにより市場の縮小をカバーすることができるでしょう。

【関連記事】
「人口減少」=「市場縮小」?もう利益は出ない? 人口減少が始まった?!

【関連サイト】
国立社会保障・人口問題研究所
タイムスリップグリコシリーズ
育児費用に関するデータ
日本旅行超豪華バスの旅

【参考文献】
人口減少時代に売れるモノ 売れないモノ(川北義則著)

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