=P.3=
この偉大な人物であるレオナルド・ダ・ヴィンチの空想力は、人間が得られる限りの果てしない欲求を追求してきた感がある。生涯において彼が書き留めた手稿、約5000枚は今も保存されている。これには絵画の構想を始め彫刻の構想、建築、幾何学、自然観察、人体解剖図、橋梁設計、飛行機、自動紡績機、水路の設計などが描かれている。図を多く用いた視覚的にわかりやすい説明をしているのが特徴的だ。
しかも驚いたことに、これらの全ては鏡文字で書かれているのだ。右から左へ逆向きに書かれており、鏡にうつすと正しく読めるというものであるが、なぜこのように書いたのかは今でも謎。左利き説や解読防止説、印刷説などが議論されているが、詳細は謎のままである。手稿が1900年頭まで古城の倉庫に眠ったままで、後の開発に影響を与えていないのが残念である。
時代を超えた天才、文明を先取りする男、といわれるように彼の発想は科学的に進んでおり、当時の社会からは誇大妄想や奇人の空想的な実験として見放されていたようだ。しかし彼の中では未来の世界を的確にイメージし、人間の常識を超える奇想天外の発想が湧き出ていたようだ。いつの時代も大発明、大発見にはこのようなエピソードがつきものだと思う。非常識から学ぶ必要がいろいろありそうだ。
=P.3=