■ 売れない時代は顧客の維持が大切
新規顧客を開拓できない会社は存続できない。新規開拓のシリーズでは、そう書いた。間違いなくそれは真実だ。しかし、「売れる時代」はそれだけでもよかったのだが、いまの「売れない時代」はそれだけでは不十分だ。売れない時代には、新規顧客の開拓以上に「既存顧客の維持」が大切なのだ。
売れる時代。企業は(そして営業マンは)どんどん売ることを考えていた。次々に新しいお客様を見つけては売った。年間に10人のお客様が離れていっても、20人の新しいお客様を獲得できた。離れていくお客様よりも新しいお客様のほうが多いのだから、それでもよしとしてきた。
しかし、売れない時代。新しいお客様を獲得するのが難しくなった。年間に10人のお客様が離れていくとすると、新しいお客様は5人しか獲得できなくなった。そのため、顧客の離反を食い止め、顧客を維持する活動が注目されるようになったのだ。
■ 満足しててもお客様は離れていく
売れない時代では「顧客を維持する」のが最重要課題だ。あなたは、顧客を維持するためにどのような努力をしているだろうか。
「顧客満足」という言葉が、頭に浮かんだのではないだろうか。顧客満足とは「顧客が自社の商品やサービスにどのくらい満足しているか」の指標だ。顧客満足度の向上は顧客との関係強化につながり、結果的に収益アップにつながると考えられてきた。あなたも顧客満足を得るために、さまざまな取り組みを実践していることだろう。
単純に考えると、満足度の高い顧客はずっと顧客でいてくれるような気がする。しかし、そうではないのだ。実は、満足している顧客の15~40%は毎年離れていく。毎年である!!顧客は満足しているにもかかわらず、あなたのもとを去っていくのだ。【参考】実践顧客ロイヤルティ戦略
あなたのお客様は大丈夫?あなたのお客様は、ライバル会社が魅力的な提案をしてきても、誘いに乗らずに断ってくれるだろうか。満足にあぐらをかいていると、大切なお客様を奪われてしまうかもしれない。
■ 顧客満足を超えた先にあるもの
顧客満足だけでは顧客を維持することがてきないとなると、私たちは顧客満足の先にあるものを目指さなければならない。顧客満足を超えたさらに先にあるもの。それは顧客ロイヤルティだ。
顧客ロイヤルティは「顧客が自社の商品やサービスを継続的に反復購入しているか」の指標である。ロイヤルティとは「忠誠」を意味する。
ロイヤルティの高い顧客(ロイヤル顧客)は、次のような特徴をもつ。
- 繰り返し購入してくれる
- 競合他社の誘いに乗らない
「繰り返し購入してくれる」「競合他社の誘いに乗らない」という行動そのものが「優良顧客の証」であるという考え方だ。顧客満足とはまったく逆の視点だ。「満足しているのだからまた買ってくれるはずだ」というのが顧客満足で、「何回も買ってくれるのだから満足しているのだ」というのが顧客ロイヤルティだ。つまり、満足を顧客の態度で測定するのではなく、行動で測定しようということだ。
前述のとおり、顧客は満足しているにもかかわらず去っていく。顧客満足は必ずしも再購入にはつながらない。また、顧客満足だけでは、競合他社の魅力的な誘いに乗ってしまう。競合他社の提案や値引きなどの理由で、簡単に競合他社に乗り換えてしまうのだ。
顧客の離反を抑え、顧客を維持するためには「顧客ロイヤルティ」という考え方が必要不可欠だ。私たちは「満足」を超えて「愛着」を獲得するために、努力していかなければならない。
次回は、顧客ロイヤルティを高める方法を紹介しよう。
■ 【連載】満足の先にあるロイヤルティ |
第1回 満足していても顧客は離れていく |
第2回 顧客ロイヤルティの育成(前編) |
第3回 顧客ロイヤルティの育成(後編) |
第4回 ゼロ以下顧客とロイヤル顧客 |
第5回 あなたにロイヤルティはある? |
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