大ベストセラー「生協の白石さん」。 彼が愛される理由はどこに? |
大ベストセラーになっている書籍「生協の白石さん」。東京農工大学において、学生さんと生協職員の「ひとことカード」を通じたやりとりを綴ったノンフィクションです。
白石さんは学生さんから寄せられる「ひとことカード」に対して、ひとつひとつ真面目に、かつウィットに富んだ言葉で返事をしています。その白石さんの返事の面白さからか、白石さんは大学内での噂になり、ウェブを通じていつの間にか書籍化、ベストセラーという道を歩むのです。
ここまで白石さんの返事が大きな反響をうんだのはなぜでしょうか? それは、白石さんの言葉が気が利いていてかつ、愛に満ちたもので、暖かさが伝わったからではないかと、私は考えます。学生さんたちも、本の読者さんたちも、白石さんを好きになってしまうのです。
今回は、そんな白石さんの言葉から、「好かれる話し方」について考えてみましょう。
プラスαの一言を加える
白石さんからの返事を読み進めていくと、あることに気がつきます。それは、「メッセージを伝えるだけならば必要のない一言が付け加えられている」ということ。実際に例を出してみましょう。
「スピッツのチケットが欲しいです」
という学生さんの要望への白石さんの回答はこうでした。
「コンサートのチケットについて、生協はお取扱しておりません。ご了承ください。
スピッツは9月に、何と立川に来るそうです。ここから近くて大変便利ですね。立川なら、中央特快も停まるので安心です」
別の例をもうひとつ。
「梅ねり始めて下さい」
に対する返事はこうでした。
「ご要望ありがとうございます。なとりの“ねり梅”(税込み¥105)、5/20(金)入荷予定です。ほのかに甘いらしいです。」
どちらも、後半の文章(赤字の部分)はなくても伝わるものです。でも、これがあるからこそ、白石さんの気配りや、優しさが伝わってきます。