相手の立場にたって具体的に伝える
―― それでは、「ひとりよがり病」の治療法を教えてください。須子:治療法については、本をお読みください!(笑)。とはいえ、少しヒントをお伝えしますね。例えば、上司が部下に対して、「会議で使うから金曜日までに資料を用意しておいてくれ!」と言ったとしましょう。この指示についてどう思いますか?
―― よくありそうな指示ですね。これも「ひとりよがり病」なんですか?
須子:そうです。こんな場合によく起こるのは、上司が金曜日の会議に使うつもりだったのに、部下は金曜日中に用意すればいいと思って間に合わなくなることです。
―― 確かに。「金曜日まで」といっても、上司と部下とでは考えていることが違うわけですね。
松村:ここでまず大事なのは、自分の視点だけでなく、相手の視点を意識すること。そして、できるだけ具体的に表現することです。そのほかにも処方箋はいくつもありますが、詳しくは『コミュニケーション集中治療室』(東洋経済新報社)をお読みください。
部下のせいにする前に「ひとりよがり病」を疑え!
須子:「あいつは使えない部下だ」と部下のことを思っているとしたら、もしかしてあなたが「ひとりよがり病」なのかもしれません。まずは先ほどのチャートで自己診断してみてください。一番危険なのは、「自分は大丈夫」と思っていることですから。―― 無自覚でいる人は多いでしょうね。そのほかにどんな“病気”があるんでしょうか?
松村:あと4つほどの主要な“病気”がありますが、「うちの上司はこの“病気”ですよ」と参加者が口々にいうのは、「オレオレ症候群」です。
―― 「オレオレ」というと「オレオレ詐欺」を思い出しますが、どんな“病気”でしょう?
松村:話の主語が「オレ」。つまり、自分中心の会話ばかりをしてしまう“病気”です。本人だけが盛り上がり、周りの人のやる気をなくすという深刻な影響をもたらすんです。会議であまり発言が出ない、なかなか部下から意見が出てこないという上司は、「オレオレ症候群」かどうか疑ったほうがいいですよ。
―― それでは次回、「オレオレ症候群」について健診してください!(次回へ続く)
あなたのコミュニケーション・健康診断はいかがでしたか? ちょっと怖いかもしれませんが、まずは「ひとりよがり病」の診断チャートをやってみてください。自覚するだけでも、かなりコミュニケーションは改善されるそうですよ。
次回は「オレオレ症候群」をはじめ、さらにあなたのコミュニケーションの健康診断を行っていきます。お楽しみに!
【参考書籍】
『コミュニケーション集中治療室』(須子はるか・松村香織著 東洋経済新報社)
【関連サイト】
■「コミュニケーション集中治療室」セミナーのサイト