コーチング/人材育成・組織作り

部下との“馴れ合い関係”から抜け出そう!(2ページ目)

「部下との関係はよくなったけれど、自分が“いい人”になっているだけでは?」 これはコーチングを学んだ人の多くが突き当たる壁です。部下との“馴れ合い”の関係にはまらず、抜け出すポイントをお伝えします。

宇都出 雅巳

執筆者:宇都出 雅巳

コーチング・マネジメントガイド


馴れ合いに気づいたらまずはこれから


Aさんのように、どこか部下に対して違和感を感じているのであれば、まずやってみてもらいたいのは……。

「あなたが感じていることをそのまま相手に伝えてみる」

とてもシンプルですが、何よりもこれが大事です。婉曲的にほのめかしたり、わかってもらおうとするのは逆効果です。いろいろな心理操作のテクニックを使って部下の気持ちを操作しようと思っても、一時的にはともかく、長い目でみてうまくいきません。

まずは上司のあなたから率直に、そして淡々と自分の思っている気持ち、考えを相手に伝えるのです。このとき大事なのは、アイ(I)・メッセージ。主語をアイ(I)、つまり自分自身にして伝えるのです。

「私は………と思っている」
「自分は………と感じている」


そして、伝えて終わりではなく、伝えた後がまた大事です。あなたが伝えることで、部下に対して何らかのインパクトがあります。それをしっかりと聴いていくことです。部下の話を聴くことはもちろんですが、言葉にならない部下の反応もしっかりと感じて受け止めることが欠かせません。上司のあなた同様、部下にもいろいろな思いがあります。それも受け止めることで初めて、ここから部下と一緒に関係を創り続けることが可能になります。

二人の関係を話せる関係を目指そう!


最後にもう一つ、馴れ合いの関係に陥らないポイントをお伝えしましょう。それは何かというと……。

「二人の関係について話すこと」

例えば、「二人の間でどれぐらい信頼関係があるだろう?」「最近、馴れ合いの関係になっている気がするけど、どう思う?」というように自分たちの関係そのものを話のテーマにするのです。「関係」という目に見えないものを話すのは、最初ピンとこないかもしれませんが、話題にするなかでだんだんと話せるようになってきます。

信頼関係は大事ですが、さらに大事なのは信頼関係が崩れたときに、それを正直に言い合える関係です。そこには馴れ合いの入る隙間はありません。

あなたの部下、または上司との関係はどんな関係ですか? そしてどんな関係を創っていきたいでしょう? 関係に振り回されたり、拘束されたりするのではなく、その関係をお互いが創り、活用していきましょう!

【参考書籍】
■『コーチング・バイブル』(ローラ ウィットワース/フィル サンダール/ヘンリー キムジーハウス著 CTIジャパン訳 東洋経済新報社)

【関連サイト】
■「部下の話を黙って聴いていてはいけません――単なる“いい上司”ではダメ!」
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