「部下との関係はよくなったけれど、このままでいいのだろうか? 自分が“いい人”になっているだけでは?」 これはコーチングを学んだ人の多くが突き当たる壁です。こんな部下との“馴れ合い”の関係にはまらず、そこから抜け出すポイントをお伝えしましょう。
《CONTENTS》●部下との関係はよくなったけれど……(1P目)●コーチングの関係は率直で正直な関係(1P目)●馴れ合いに気づいたらまずはこれから始めましょう(2P目)●二人の関係を話せる関係を目指そう!(2P目)
部下との関係はよくなったけれど……
以前に比べれば関係はよくなったけれど |
先日、最近コーチングを学び始めたというAさんから相談を受けました。
コーチングを学んで部下の話が聴けるようになってきたのですが、最近、新たな悩みが出てきたそうです。
「以前に比べれば、部下とかなり話せるようになってきたのですが、逆に最近は注意したり、怒ったりしたいと思っても、関係が壊れるのを恐れて怒れなくなってきました。以前のほうが本音で話せていた気もします……。」
「つい最近も、部下に任せていた仕事について確認したら、その部下は『まだやっていません。すいません。すぐにやりますから』という答え。正直言ってカチンときました。確かにまだ間に合うのですが、彼の話しぶりからその仕事を軽くみていると感じました。でも、気持ちとは裏腹に、『わかった。しっかり頼んだよ』と愛想笑いを浮かべて部下に答えている自分がいるんです。はっきり言って自己嫌悪ですよ。」
Aさんの話を読んでいかがですか? 「自分もそうだなあ」と思われた方がいるかもしれません。部下とのコミュニケーションがよくなり、会話も増えるようになってきたのに、何か違和感がある。もしかして、あなたもこんな部下との馴れ合いの関係になっていませんか?
コーチングの関係は率直で正直な関係
そもそもコーチングって何のためにやっているのでしょう?
コーチングは物分りのいい上司、優しい上司になるために行っているのではありません。部下が可能性を最大限に発揮しながら生き生きと生きることをサポートするものです。そして、そのためには、馴れ合いの関係ではなく、上司と部下との間で何でも話せる本音の関係が重要です。コーチングにはこんな言葉があります。
「ナイスな関係ではなく、リアルな関係であれ」
コーチングの関係は単なる仲のいい“ナイスな関係”ではありません。お互いに率直で正直な“リアルな関係”であり、事実・真実としっかり向き合う関係です。
あなたの部下との関係はどうですか?
ナイスですか? リアルですか?
この関係は一度創ったら終わりというものではなく、常に変化し、創り続ける必要があります。“リアルな関係”はお互いにとって必ずしも居心地のよいものではありません。ついつい“ナイスな関係”に傾き、さらにはそれを維持するために馴れ合いの関係になってしまします。
どうしたら、“リアルな関係”を創り、それを創り続けられるのでしょう?
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