ヒトが関わる問題は探し出すとキリがない
青木:「問題に焦点を当てる」・問題志向で深く分析した方が良い種類の問題もあります。ただ人間組織の問題は「何が悪い」という発想で解決しようとすると時間がかかるんです。問題の原因を追究し出すとキリがないし、しかも多くの場合、「誰の責任か?」という責任問題がからんで、犯人探しが始まったりします。そうするうちに、問題解決の「解決」は忘れ去られて、「問題」だけがクローズアップされてしまいます。――会社の会議ではありがちですね。そうすると、日本が得意とする「改善活動」は非効率ということでしょうか? 改善活動では、「なぜ」を5回繰り返せ、と問題に徹底的に焦点を当てていきますが……。
青木:あのやり方は対象がモノだから効率的なんです。例えば、設計図どおりにモノを作る例を考えてみましょう。もし、設計図どおりになっていなければ、その箇所を洗い出して、一つ一つつぶしていけばいいですよね。問題といっても限りがあります。
それに対して、先ほどの化学工場の例でもそうですが、対象がヒトの場合は違います。問題はいくらでも創り出すというか、探し出すことができます。これではいくら時間があっても足りません。「何で駄目か」ではなく「何が解決か、どうしたらその解決に向かうか」という問いかけで、解決までのスピードがずいぶん短縮されます。
目標と現実のギャップに気を取られるワナ
――なるほど。ヒトに関わる問題だから、問題ではなく、解決に焦点を合わせることが大事なんですね。「目標を明確にする」ことの重要性もよくいわれますが、これも解決志向アプローチなんでしょうか?青木:解決志向アプローチでも、目標を明確にすることは重要です。ただ、大事なのはその後です。目標を明確にすると、現実とのギャップが見えてきます。このギャップが何かを分析しようとすると、問題に焦点を当てることになってしまいます。
――言われてみると、普段の生活ではそのパターンによく陥っています。少しでも目標に近づくために、障害となっている問題を見つけて、それを解決していく。今までそれしか方法はないと思っていたかもしれません。ただ、正直なところ、目標を明確にして、「それを達成するにはどうしたらいいんだろう」と問いかけるだけでは、うまくいかないような気もしています。
青木:とても大事なポイントですね。解決志向アプローチでは、解決に焦点を当てる以外に、別のあるところに焦点を当てていきます。これは、関わるヒトのモチベーションも引き出すうえでとても重要です。それは何かというと……。(続く)
今回は解決志向アプローチの基本コンセプトをご紹介しました。いかがだったでしょうか? 続きは次回の記事で。次回も実際事例を交え、青木さんにわかりやすく解決志向 アプローチについて解説してもらいます。お楽しみに!
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