『第1位:コーチング・バイブル』
新しい組織・マネジメントにおけるコーチング |
ただ、先月の記事「コーチング本を選ぶ3つの視点」でも解説したように、部下も“ヒト”であり、仕事をすることも“生きる”なかの一側面です。やはり、部下の指導においても、本書で述べられている内容はやはり基本として、まず最初に押さえておくべきだと考え、第1位に選びました。
実は、第2位として紹介した『部下を伸ばすコーチング』は、本書と基本的には同じ考えに基づいた本です。どちらも、コーアクティブ・コーチングというコーチングに基づいており、本書はそのコーアクティブ・コーチングのより深い解説書になっています。『部下を伸ばすコーチング』では企業組織やマネジメントとの関係にも触れられていましたが、本書ではまったく触れられていません。その代わり、コーチングそのものに関しては、より深いレベルで詳しく解説されています。
上司の方に特に読んでもらいたいのは、第3章の「傾聴」、および第5章の「好奇心」です。この二つの章に書いてあることをマスターするだけで、あなたの聴き方は大きく変わり、部下に“ヒト”として関わり、可能性を引き出し始めている自分に気づくでしょう。
本書で解説されている「傾聴」は、カウンセリングなどで使われる「傾聴」と混同されがちですが、「意識の矢印の向き」に注目した画期的なものです。また、コーチングにおいて「好奇心」は欠くことのできない要素ですが、これをしっかりと解説している本は本書以外に知りません。ほとんどのコーチング本では「好奇心」について触れられていないか、申し訳程度に解説されているだけです。
また、コーアクティブ・コーチングにおける3つの種類のコーチングである、フルフィルメント・バランス・プロセスについてもそのポイントが紹介されています。それぞれ、部下の持っている価値観、思い込み、感情にどうやってアプローチしていくのか? また、そのことでどんな効果があるのか? がわかります。
1回読んだだけではピンとこないかもしれませんが、ぜひ繰り返し読んで身につけてもらいたい本です。
【関連サイト】
■「部下を“モノ”扱いする本は避けましょう!--コーチング本を選ぶ3つの視点」