取締役への抜擢
「よく車にお客さんを乗せて現地に案内したんですが、ある日老夫婦を乗せてつくばに行ったんです。ご主人、奥様というのも生意気だと思って、お父さん、お母さんと呼んだんです。すると私に親しみを感じて頂いて、ご飯にも連れていって頂きました。もちろんその後、いいお客さんになって頂きました」
それから堀口氏は破竹の勢いで業績を伸ばし、トップセールスに上りつめてゆく。次々と不動産売買仲介の実績を積み重ねると、今度は顧客をスポンサーにして、マンションの開発案件を手掛けた。自ら建築物の企画を行い、建物を建ててゆく仕事は、建築士でなくても、ものづくりの楽しさを味わえた。
こうした実績が評価され、堀口氏は入社3年余りで取締役に抜擢され、建てたマンションを管理する現地管理会社社長にも就任した。
だが「東京で一旗上げたい」と思い上京してきた堀口氏は、それだけでは満足できなかった。順調に業績を伸ばす会社を上場させ、「上場会社役員」という名誉を手にしたかった。ある日その希望を社長に訴えたが、社長は「俺はこの規模で十分」として、頑として首を縦に振ろうとしなかった。
「自分の人生はここで終わりなのか? こんな夢のない人生は送りたくない―――」
ついに堀口氏は独立を決意する。
<後編に続く>
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