キャリアプラン/キャリアプラン事例

「ビル再生王」サンフロンティア堀口社長(6ページ目)

中古ビル再生に挑むサンフロンティア不動産の堀口智顕社長は、27歳までカフェの店長を務めていた。そこからなぜジャスダックに上場する不動産会社社長になったのか?

執筆者:角田 正隆

未経験職種への転職活動

多角的な不動産関連事業の集大成がリプランニング事業だといえる

早速、建築士事務所への転職活動を開始した堀口氏は、3社ほど断られたが、社員5人程度の一級建築士事務所に採用された。未経験だったがバブル期で人手不足だったのだろう。堀口氏は「これから勉強し直そう」と決意を新たにした。

ところが出社してみると、その会社は「一級建築士事務所」という看板は掲げていたものの、実質的には不動産の売買仲介を主な収益源とする不動産会社だった。

設計の仕事は1%ぐらいしかなく、堀口氏の目算は脆くも崩れてしまったが、それでも「だまされたという気持ちはみじんもなかった」という。それといって強い動機もなく始めたカフェの仕事に没頭し、その後店長になってしまったように、堀口氏は「目の前のことを一生懸命やる」タイプ。今まで1日も無職という期間がなかったほど。不動産営業の仕事も素人ながら、必死で覚えようとした。

堀口氏が転職した86年は、不動産業界全体がバブルの恩恵を受け盛り上がっていた時期にあたる。強気で押す営業スタイルが業界の主流だったが、堀口氏は相手の話を聞くことに徹し、相手が何を求めているか常に思い巡らせ、相手の役に立ちたいと思っていた。そうした姿勢に好感を持った関係者は、堀口氏に耳寄りの情報を教えてくれるようになった。


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