キャリアプラン/キャリアプラン事例

「ビル再生王」サンフロンティア堀口社長(3ページ目)

中古ビル再生に挑むサンフロンティア不動産の堀口智顕社長は、27歳までカフェの店長を務めていた。そこからなぜジャスダックに上場する不動産会社社長になったのか?

執筆者:角田 正隆

命がけのモズク採り

磯のサザエを採りですら命がけだった。日本海の大波が押し寄せて、磯に叩きつけられたことも一度ではない

だが意外にも堀口氏が不動産業界に入ったのは遅く、27歳のときだった。18歳で大学受験のために上京し、そのままカフェのアルバイトにのめり込み、調理師資格を取得した。上場不動産会社のトップとしては異色の経歴というほかない。リプランニング事業の原点は、それ以前の幼少時代にあったのかもしれない。

堀口氏は1958年、新潟・佐渡島で生まれた。佐渡は特に冬の気候が厳しい土地として知られ、住民は毎年大雪に悩まされ、吹き荒れる吹雪で歩行もままならない。周囲を日本海で囲まれ、その荒波で本土との交通すら妨げられる。そうした環境で育てば当然、自然に対する畏敬の念も深くなるに違いない。

高校時代には夏になると、貧しい生活の足しにするため、海でモズク採りをしたという。モズクは潮流の早い場所で育つため、網を片手に水深8メートルも素潜りした。しかし再び水面に出ると、船が50メートル以上も流されてしまうことがあった。船に泳ぎ着こうとしても潮流に妨げられまっすぐ泳げない。潮の流れを巧みに読んで、斜めに泳ぎ切るしかなかった。

「何とか生き延びたという感じですね。自分の子供がやりたいといっても絶対にやらせません(笑)」

命がけで自然と向き合った体験は、「エコ企業」を掲げる今と無縁ではないはずだ。


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