キャリアプラン/キャリアプラン事例

トップセールス列伝5 クレーム処理術(2ページ目)

なぜ彼はトップセールスなのか? 事務機器メーカーの飛び込み営業で、何度も「横綱」を取ったイデアインターナショナル橋本雅治社長は、信念を貫いた者が勝つことを教えてくれた。

執筆者:角田 正隆

信念を貫け

chimney
Chimney」煙突のような形をしたユニークな加湿器。インテリアとしての価値も高い。
ところが橋本氏の営業スタイルは、支店長から反感を買ってしまう。「とにかく外に行け!」という支店長と「僕には僕のやり方がありますから」とデータベース重視の橋本氏。データが増えるにつれて、徐々に成果が出始めていたが、新人としては異例のことだが、橋本氏は都内の別の支店に飛ばされてしまう。

「リース期限が来る直前に集中的な営業を仕掛け、競合をひっくり返すのがデータベース営業ですが、ある一定以上のデータが蓄積されるまで少し時間がかかります。ちょうど受注が爆発するかに思えたタイミングで飛ばされたのですが、異動して3日後に大型受注を獲得できました。異動した先の支店長は大喜びですよ。その支店長が現在の当社の監査役なんですけど(笑)」

その後、橋本氏は番付の常連となるが、開花するまで多少時間のかかる「データベース営業」は、強い信念と精神力がなければ、続けられないかもしれない。きっとウエイトリフティング部時代の忍耐力が生かされたのだろう。しかし、キヤノン販売に入社してからも、精神力の鍛錬は欠かさなかったようだ。


クレーム命

クレームを楽しむ
クレームを楽しんでました

橋本氏は客先からクレームがあると、担当以外の顧客でも志願してその対応に当たった。烈火のごとく怒る顧客に、橋本氏はどんな対応を見せたのか?

「クレームをつけてくるお客さんは当然のことながら怒っています。だから、最初は相手の怒りがおさまるまで、思う存分怒ってもらうようにします。

それから冷静になったところで、ロジカルな対策を提案します。クレーム対応が下手な人は、相手が怒っているうちに、『それにつきましては―――』とロジカルな話を切り出そうとするから、相手の火に油を注いでしまう結果となるんです」

むしろ「クレームを楽しんでいた」橋本氏は、精神的なタフさも要求される困難な仕事を「プロの仕事」としてやりがいを感じていたほどだという。クレームで知り合った顧客は橋本氏の見事な対応ぶりにすぐにファンとなり、簡単には他社に流れない根強い顧客になった。

こうした火中の栗を拾う鍛錬が、その後家業を救うことになるとは、本人は予想だにしていなかったようだが―――。


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