「提案力」とは「交渉力・説得力」に通じる
提案力は営業においての交渉力に通じる
今回は「提案力」について考えてみたいと思います。ビジネススキル第一位の「交渉力・説得力」(50.1%)にも通じるものです。
「提案力」が営業力を左右する:重要なのは「傾聴力」
「提案力」こそ、これからの営業にますます求められる!
コンピュータメーカーの営業をしていた駆け出しの頃、先輩営業を見て感じたことは「売れている営業」と「売れていない営業」の差を端的にいえば、「提案力」でした。極論すれば、提案書のページが多ければ多いほど売れず、少なければ少ないほど売れるというものでした。
これはプロダクトアウト(製品指向)とマーケットイン(顧客指向)の違いということでしょう。専門知識が豊富な営業ほど、提案書に色々な要素を盛り込んでいく傾向にあります。顧客のニーズから反れたピント外れの提案が多いものです。逆に、専門知識が豊富とはいえない営業でも、的確に顧客のニーズを捉えることが出来れば、ピンポイントで期待通りの提案書が作成出来るのです。
そのためには、「傾聴力」が重要です。いかに顧客の声を客観的に聞くことが出来るかも重要な能力です。結果的に成績を残す営業は、よく話すのではなく、よく聞くといいます。顧客の声にきちんと傾ける心理学者のような方は良い営業と言えるでしょう。
営業プロセスにおける「感情」と「論理」
素晴らしい提案を行ったにも関わらず、最終的な交渉で商談が上手くいかなくなったという経験はないでしょうか。このような事態はなぜ発生するのでしょうか。それは提案においては提案内容に基づく理性的な判断が重視されるのに対して、交渉においては相手を納得させるという人間対人間の合意、いわゆる「落としどころ」が重視されるためです。このため、交渉においては提案とは異なり、人間の生身の部分に配慮をしなければなりません。
これまでの営業経験から、私は以下のように契約合意までの営業プロセスを考えています。「最初は情で、プロセスは理で、最後は情に戻る」と。やはり、人間は論理では動かない、感情で動く生き物であるという前提条件を忘れてはいけません。
営業プロセス-5つのフェーズ
1.不信を取り除く-感情のフェーズ論理ではなく、感情で人は動く!
2.不要を取り除く-論理のフェーズ
信頼関係を構築されると、顧客から現在の課題点やニーズを的確に把握することができます。提案はこのような課題点やニーズを踏まえ、それらの解決策を提示することです。それがサービスや商品として提案することになります。そこでその提案の必要性をきちんと論理で説明することが求められます。「論理」とは「言語」と「数字」から成り立ちます。つまり、数字を取り込んだ説明をしない限り、論理的とは言えません。
3.不適を取り除く-論理のフェーズ
次に、提案の必要性が理解されると具体的な検討段階に入ります。当然1社ではなく、他社も検討して、その中から最適なものを選択することになります。ここでも重要なのは論理です。他社と比較して、どういう部分が優位なのかをきちんと理解していただく必要があります。
4.不急を取り除く-論理のフェーズ
最後ですが、必要性を感じ、自社の提案が最適という判断を下した後、最後のハードルが本当に今必要かどうかということです。時間軸で考えた場合、今その提案を受け入れることがベストであるということをきちんと論理的に説明し、納得いただくことが必要です。
5.クロージング(契約)では-感情のフェーズ
いよいよ契約直前のフェーズです。ここで最終の意思決定がされますが、値段や導入時期、本当に判断が正しいのだろうかと迷うケースがあります。その際は最初の入口に戻り、感情に訴えることです。最後の一押しは「論理」ではなく「感情」なのです。
【関連記事】
- 能力・キャリアを開発するための中核となる力とは
- 20、30代で1000万円以上の年収を稼げる人とは
- 集中力を養い、仕事の質を高める時間術
- 新しい働き方—パラレルキャリアとは何か
- 食いっぱぐれないビジネスマンになるための4つの条件
■参考図書
「ハーバード流交渉術」