現状中古住宅の不具合はどこまで対応?誰が負担する?
中古住宅の引渡し後の不具合の対応はあくまでケースバイケース |
たとえばフローリングの床鳴りひとつをとっても、音に敏感な人にはとても嫌なものだったりします。
ある中古マンションの購入者にこんな例がありました。
売り主である前の住人は床鳴りは全く気にならず、契約時にもとくに何の申し送りもありませんでしたが、購入者が実際に入居して生活してみたら、リビング入り口の床や寝室の入り口など、合計3箇所で歩くたびにギシギシ鳴り、気になってしょうがないという状況になりました。もちろん引き渡しの際のチェックは行いましたが、さすがに床すべてに乗ってみる訳にもいかず、気づかず仕舞いだったそうです。
そこで、わずか築3年足らずの物件であるにも関わらず、買い主が数万円ほどかけてフローリングの全面調整を行ったそうです。
本来、新築時のアフターサービスである2年目点検の際までに解決できていればコストもかからなかったのでは?と購入後の手間と負担で、買い主としては売り主に対する腹立ちもあったものの、購入の条件が「現状今ある状態で引き渡す」というものだったので、交渉で時間が経つのも嫌だったので、即日手配し、自分自身の負担で補修を行ったそうです。
また、同じく築浅の物件で、壁のクロスはきれいなのに、継ぎ目があちこち剥がれていたため、気になって買い主が張り替えたという例もあります。
中古における現状有姿(げんじょうゆうし)のワナ
中古物件の引渡しは多くが「現状有姿(げんじょうゆうし)」。よっぽどの不具合を除けば、前所有者からそのままで引き渡されるケースがほとんどです。とはいえ先に例示したような瑕疵や欠陥だと明確に分類できない不具合は多く、売り主との仲介となる不動産会社に頼んでも対応してくれる場合とくれない場合などがあり、対応はあくまでケースバイケースというのが現状です。
多くは引渡し時に確認して、最終交渉するものの、残念ながら事前にどんなにチェックしても、住んでみないと実際の不具合はなかなかわからないのが住宅というもの。
たとえ気がついても、売買の契約条項に「引渡しは現状有姿(げんじょうゆうし)」とあるため、基本は何も対応してくれないだろうとはなから諦め、どうせリフォームもするし、と買い主側で補修してしまう例も多いように見受けられます。
このような補修も買い主側としては、本来的には新築同様売り主にお願いしたいところとは思いつつも、とはいえこのような補修はかかっても数万円の範囲。なのでまだ我慢もできようというものかもしれませんが、前回の例のような躯体にかかわる大きな補修だったらと考えると、購入するほうも不安になってしまいますよね。
このようななか、新築の保険制度に続き、瑕疵や欠陥にスムーズに対応でき、中古住宅の流通をますます活性化させるべく、国土交通省は新しい中古住宅の保険制度の検討を始めたようです。
次のページで具体的に解説します。