住んで初めて気がつく不満とは
マンションを購入し、すでに住み始めている人にインタビューしてお住まいのマンションの不満点をお聞きしました。今回のインタビュー先はハイグレードマンションにお住まいの方が中心です。住んでいるマンションの総合満足度は高いのですが、やはり不満も少しはあります。マンションならではの問題点や「ちょっと贅沢!?」と思われるものまで、いずれもこれからマンションを購入予定の方には参考になると思います。ぜひご覧ください。
不満その1:外に出るのがおっくうに
実は、マンション暮らしをするようになって「出不精(でぶしょう)になった」と訴える方は多いのです。実際に住んでみて「思ったよりエントランスまでの道のりが長かった」というのです。これは大規模マンションであるほどその傾向が強くなります。大規模マンションでは、住戸の位置によってはエレベーターまでの距離が遠く、玄関ドアを出てからエレベーターにたどり着くまで遠く感じることもあるようです。マンションの近くのコンビニまで行くのでさえ億劫に感じ、ちょっとした買い物ならガマンしてしまうこともあるそうですよ。
タワーマンションでは垂直移動に時間がかかる
人気のあるタワーマンションでは素晴らしい景観が日常になるのですから、上階に住むことが夢だという人もいるでしょう。しかし、タワーマンションの上階に住むと、上下移動に時間がかかることがあるようです。19階に住んでいる方のお話では、自宅玄関からエレベーター、エントランスまでの距離は短いし、エレベーター数も充実している。それでもエレベーターの待ち時間と上下移動の時間を合わせ、外に出るまでにかかる時間が長く感じ、やはり「外に出るのがおっくうになった」と言うことでした。
■この事例の教訓
自宅住戸玄関からエレベーターまでの廊下の距離、エレベーターからエントランスまでの距離、階数、エレベーターの数を吟味して住戸を選びましょう。外遊びが多い時期のお子さんがいる家庭では、エレベーターを使わずにエントランスに行きやすい低層階や、エントランスに近い住戸が向いていると思います。とにかく「マンション暮らしをきっかけに閉じこもりがちになる」ことは避けたいですね。
不満点その2:収納が少ない
「収納が少ない」という不満は、マンショングレードに関係なく普遍的な悩みのようです。特に戸建住宅からの引っ越しや、家族構成の変化等によって以前より面積が狭いマンションに引っ越すような時は要注意です。「荷物は極力整理し捨ててきたつもりだった。それでもやっぱり収納が足りなかった」というお話はよく聞きます。■この事例の教訓
戸建て住宅に比べ、マンションではどうしても収納が不足気味に。中にはそれを見越して入居前にリフォームして収納をつくってしまったという人もいました。注意すべきは布団の収納です。和室のない間取りではクロゼットサイズ(奥行き60センチ程度)の収納しかなく、布団の収納(奥行き90センチ程度必要)に困るケースがあります。
不満その3:バルコニーが狭い
例えばタワーマンションでは、風の影響を極力少なくするためにバルコニーを小さめに設計していることもあります。上層階ともなれば洗濯物を干そうと思わなくなるくらい風が強いこともあるようですが、それ以外の階では、マンションで禁止されていなければ「外に干したい」と思うものです。ところがバルコニー面積が小さいため、洗濯物でいっぱいいっぱいになり、観葉植物を育てたくてもそのスペースがない、となるのです。
バルコニーが2面についているような恵まれた条件のお宅でも「バルコニーの奥行きがもう少しあれば…」と感じる方もいらっしゃるようです。マンションの景観を保つため、バルコニーの手すり内側に物干し金具を設け、マンションの外側から洗濯物が見えないようにしているケースも多くなりました。そうすると洗濯物がバルコニー内側の足元付近を占領してしまうため、「もっと奥行きがあったら良かった」となるのです。
■この事例の教訓
洗濯物は外に干したい、ガーデニングもしたいと思ったら、バルコニーの大きさ、奥行寸法もチェックしてください。また、外干しを希望する場合、管理規約でバルコニーに干すことを禁止していないか事前に確認しましょう。
不満その4:コンシェルジュが煩わしい
これぞ贅沢!? という悩みが、この「エントランスに駐在するコンシェルジュ」に対する不満です。グレードの高いマンションでは、エントランスにコンシェルジュ(総合世話係)を駐在させ、ホテルライクなサービスを行うケースが多くみられます。郵便や宅配便、クリーニングと、こまごまとしたことも引き受けてくれるので、マンションから一歩も外に出なくても用事が済むという、とても便利なサービスです。
ところがある方がおっしゃるには、エントランスを出入りするたびに「行ってらっしゃいませ」「おかえりなさい」とそのつど声をかけてくれるのですが、次第にそれが煩わしくなり、メインエントランスを避けるようになり、コンシェルジュのいない脇にあるサブエントランスから出入りするようになった、ということでした。
■この事例の教訓
なんて贅沢な悩みなのでしょう!なんともうらやましい限りですが、コンシェルジュがいるマンションを選ぼうとしている方は、そういう事例もあると頭の隅に入れておくとよいですね。
不満その5:ビルトイン設備は壊れたらどうなる?
あるハイグレードマンションには、外国製の洗濯乾燥機が標準仕様で装備されていました。その洗濯乾燥機はビルトイン形式で、作業台であるカウンター(大理石製)の下にぴったりと組み込まれていました。ビルトインされているため、洗面脱衣所はたいへんすっきりしています。ところが入居して数年たち、洗濯乾燥機が故障してしまいました。修理を頼んだのですが、同じ機種はすでに廃番になっているとのこと。取りあえず部品交換でその場をしのぎましたが、今後本格的に壊れた時どうしたらいいの?と困っています。
■この事例の教訓
ビルトイン設備は、その機種がピタッと入るように設計されているので、他機種に変更すると元の場所に入らず周りを壊さなければならなくなる可能性があります。家電製品や設備機器の寿命は意外と短いもの。維持管理、取り換え時のことも念頭に入れておきましょう。
今回は、実際にマンションに住んでいる方のインタビューをもとに、普遍的な不満からグレードの高いマンションならではのものまで、マンション暮らしの「困った」を5つご紹介いたしました。ぜひ今後のマンション選びの参考にしてください。
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