寒い季節がやってきました。しっかりと断熱対策をしてある住まいでは、真冬でも室温があまり下がらず、少しの暖房で暖かく過ごすことができます。そこで今回は新築マンションを買う時や借りる時にチェックしたい断熱のお話をまとめます。

【目次】
寒いマンションの暮らし
暖かいマンションの暮らし
分譲マンションでも差がでる快適さ
しっかり見極めたい断熱の有無
暖かいマンションの見極めポイント
外壁自体を断熱! 外断熱マンションは省エネ効果も
外断熱マンションは増えてきている?
 

寒いマンションの暮らし

東京都内のあるマンション。このマンションで暮らすAさんご一家は、幼稚園年少のお子さんと40代のお父さん、お母さんの3人家族です。

Aさんがこのマンションに引っ越してくる前に住んでいたマンションは、同じ都内にあるRC造(鉄筋コンクリート造)の賃貸マンションでした。
 
冬寒い家では子どもが布団をはがないか心配で夜安眠できません。

冬寒い家では子どもが布団をはがないか心配で夜安眠できません。


この賃貸マンションでは冬場の冷え込みが激しく、Aさんの奥様は室内でも厚着をして過ごしていました。お子さんはまだ小さく「夜中に布団をはがないだろうか」と心配でしょうがなかったそうです。冬になると風邪をひかせてはならないと、ずっと気を張る毎日でした。また、冬になると窓に結露やカビが発生し、その掃除の負担も大きいものでした。

さて、そんな苦労をされたAさんは、今から3年前に分譲マンションを購入し、現在は快適な暮らしを送っているとのことです。一体何が変わったのでしょうか。

 

暖かいマンションの暮らし

Aさんの現在のお住まいは冬でも暖かく、暖房を入れなくても室温は19℃を切ったことがありません。朝、床暖房を一時間ほど入れておくだけで室内は十分に暖かくなり、その後は暖房をつけなくても快適な室温を保っています。窓やお風呂場の結露は全く見なくなりました。
 
しっかり断熱されていれば、冬場に室内で厚着をしなくても大丈夫。子どもの動きも活発になったとのことです

しっかり断熱されていれば、冬場に室内で厚着をしなくても大丈夫。子どもの動きも活発になったとのことです


以前は室内でも厚着をしていたAさんの奥様は、このマンションに引っ越してきてから薄着で過ごすようになりました。また、夜中でも一定の暖かさをキープしているため、お子さんが夜中に布団をはがないか、という心配もなくなり今では安心して眠れるようになりました。
 

分譲マンションでも差が出る快適さ

Aさんのケースでは、賃貸か分譲か、という違いはありましたが、同じ地域に建つ同じRC造のマンションで、どうしてここまで冬の暖かさに差が出たのでしょうか?

一般的に賃貸物件よりも分譲物件の方がよい仕様で建てられていると言われますが、分譲マンションでも冬場「寒く」「結露だらけ」という物件は、残念ながら存在します。やはりマンション選びをするときに、しっかりと確認して購入することが大切です。
 

しっかり見極めたい断熱の有無

真冬でも断熱のしっかりしているマンションでは快適に暮らせます。

断熱のしっかりしているマンションでは真冬でも快適に暮らせます。

冬場暖かく過ごすことができるマンションは、実は夏場も涼しく快適に過ごすことができます。つまり一年を通して快適な室内環境が期待できるのです。

そのような居住性の高いマンションは、建物そのものがしっかり断熱されています。しっかり断熱されているとは、必要な箇所必要な厚みのある断熱材が隙間なく施工されているということになります。

必要な箇所とは、屋根、外壁、床下など外気に触れる部分が該当します。

必要な厚みとは、断熱材の種類や施工場所によって断熱材の厚みが変わってくるため、それに準じて適切な厚みを配置してあること。例えば直接太陽が照りつける屋根とそうではない壁面を比較すると、屋根面の方がより厚い断熱材が必要であるとされています。

隙間なく施工されているとは、断熱材が切れ目なくすっぽりと覆うように施工されていることを指します。
 
人間の防寒対策でも寒い部分を作らないことが大切。建物も同じです。

人間の防寒対策でも寒い部分を作らないことが大切。建物も同じです。


冬の寒い日に外出する時、コート、マフラー、帽子、手袋などで暖かくしていくことを想像してみてください。寒さに比べてコートが薄すぎたり、手袋を忘れてしまったりすると、そこから冷気が入り込み、寒さに気を取られて楽しい外出も辛いものになってしまうでしょう。建物も同じで、適切な厚みの断熱材で建物をすっぽりと覆うことが大切なのです。
 

暖かいマンションの見極めポイント

 
物件を内覧する時に断熱対策がしっかりされているか確認しよう

物件を内覧する時に断熱対策がしっかりされているか確認しよう

それでは物件選びの際に、寒さに強いマンションをどのように見極めればよいのでしょうか。簡単にチェックできるポイントをお伝えします。
 

1.窓が単板ガラスか複層ガラスかをチェック

これまで私が見て来たマンションで、とても残念なのは「窓」を手抜きしている物件です。例えば関東地域では、少し前までは、窓はガラス板一枚からなる単板ガラスとアルミサッシ製の窓枠で構成されることが一般的でした。

この組み合わせでは冬場に窓に結露(けつろ)が発生するケースが多くなります。結露するということは、断熱性能が十分でないということです。現在では新築マンションの多くが複層ガラスを採用しており、そのような物件では結露はほとんど見なくなりました。複層ガラスはガラスを2枚使い、その間に空気をサンドイッチしたもので、単板ガラスに比べ断熱性能は高くなります。

複層ガラスイメージ図(画像出典:日本板硝子 ガラスワンダーランド)

複層ガラスイメージ図(画像出典:日本板硝子 ガラスワンダーランド)

窓ガラスが単板なのか、複層ガラスなのかは断熱性・省エネ性に大きく影響を与えます。冬場、暖めた室内から屋外に逃げてしまう熱の半分は窓からと言われています。窓は断熱性・省エネ性を高める上で、非常に大切な部分なのです。

これからの時代、少なくとも窓ガラスには複層ガラス以上のものが採用されていることが望ましいと言えます。マンション購入前には窓ガラスの種類をチェックしてください。
 

2.住宅性能表示制度の評価項目をチェック

「住宅性能表示制度」を利用しているマンションなら、窓ガラスも含め、その建物の断熱性能を確実に見極めることができます。

設計住宅性能評価書の「5.温熱環境・エネルギー消費量に関すること」という項目をチェックします。この項目はさらに「1.断熱等性能等級」「2.1次エネルギー消費量等級」に2つに分かれます。前者が等級1~4、後者が等級1~5に評価され、数字の大きい方が高品質、すなわち「寒さに強いマンション」となります。
 
省エネ性の高い住戸のイメージ(画像出典:一般社団法人住宅性能評価・表示協会)

省エネ性の高い住戸のイメージ(画像出典:一般社団法人住宅性能評価・表示協会

この「温熱環境」の項目は平成27年4月に改訂されています。それ以前では等級4が最高でしたが等級5も新設されました。「1.断熱等性能等級」の項目で窓の性能も含めて建物全体の断熱性を評価しており、等級4以上であれば、しっかりとした対策が取られていると考えて良いでしょう。

■設計住宅性能評価書を確認する時の注意点
設計住宅性能評価書を確認する時は、必ず購入予定の住戸のものを見せてもらいます。100戸あるマンションでは100通りの住宅性能評価書が交付されています。住戸の位置や階数で評価内容が変わることがあるからです。
 

外壁自体を断熱! 外断熱マンションは省エネ効果も

もうひとつの判断材料として断熱材を施す場所があります。「外断熱」「内断熱」という言葉を聞いたことのある人もいらっしゃると思います。現在ほとんどのマンションは建物の「内側(室内側)」に断熱材を施す内断熱のマンションになっています。それに対し、断熱材を室内側でなく外壁の外側に施してあるマンションを「外断熱マンション」と呼びます。
内断熱マンションと外断熱マンションの違い。断熱材が躯体コンクリートの内側にあるか外側にあるかが大きく違います。

内断熱マンションと外断熱マンションの違い。断熱材が躯体コンクリートの内側にあるか外側にあるかが大きく違います。

 
床、壁、天井などの躯体がコンクリートでできているマンションは、躯体の外側から断熱材で建物をすっぽり包んであげることで、コンクリートの蓄熱性を活かすことができます。その分省エネにつながることはもちろん、コンクリート躯体に蓄えた熱を少しずつ室内に放出するので、輻射による快適な暖かさを得られます。

 

外断熱マンションは増えてきている?

外断熱マンションはもともと寒冷地である北海道で開発が進められました。高度な技術が必要で、ややコストアップになることもあり、関東以南ではまだまだ供給数が少ないのが現状です。

もし外断熱の物件に出会ったら、購入の際には分譲会社(デベロッパー)の施工実績や、同じ会社が建てた別の物件にお住まいの方の声などを聞いて、優良物件を選ぶようにしましょう。お住まいの地域の特性にあっていることや、きちんとした施工がされているかを確認することも大切です。

今回は「寒さに強いマンション仕様」というテーマで断熱材に着目してきました。しかし断熱材だけでなく、窓の性能、建物の気密性、適切な換気計画も合わせてとても大切となります。それらについては次回以降に取り上げていきたいと思います。

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