【ガイドの不動産売買基礎講座 No.108】

重要事項説明書について、前回は未完成物件、マンションの使用や管理、その他不動産の状況、売買代金や金銭に関するポイントを説明しました。引き続き今回は契約の解除や損害賠償額(違約金)、金銭の貸借(住宅ローン)に関する事項についてみていくことにしましょう。


契約の解除に関する事項

この項目では、いったん締結した売買契約を解除する場合における適用条項について、それぞれの概要が説明されます。したがって、何よりもまず売買契約書の内容と一致していることが求められます。

万一、売買契約書の内容と異なる場合には、その問題点が解決するまで契約行為を進めるべきではありません。

契約解除に関する主な適用条項は次のとおりです。

□ 手付解除
□ 引き渡し前の滅失または毀損による解除
□ 契約違反による解除
□ 融資利用の特約による解除
□ 譲渡承諾の特約による解除
□ その他、特約による解除

手付解除とは、いわゆる「手付放棄・手付倍返し」による契約解除で、契約の相手方が契約の履行に着手するまでは売主と買主の双方にこの解除権があります。

手付解除の適用期限を定めた場合にはその期日までとなりますが、売主が宅地建物取引業者の場合に適用期限を定めること(買主の解除権行使期間を制限すること)は無効とされます。

引き渡し前の滅失または毀損による解除は「危険負担」に対する特約を定めるもので、多くの場合、滅失のときは買主に解除権を与え、修復が困難な毀損のときは売主に解除権を与える内容となっています。

融資利用の特約(住宅ローン特約)は、あらかじめ定めた期限内に金融機関から住宅ローンの承認が得られなかった場合に、買主が解除権を有するというものです。

ただし、承認が得られないことによって自動的に契約が解除される場合と、買主から解除の意思表示をすることが必要な場合があり、そのどちらなのかは契約書の文面によって判断されますから、よく確認しておくことが欠かせません。

また、譲渡承諾の特約は、土地の権利が借地権の場合に該当するもので、あらかじめ定めた期限までに土地所有者(地主)からの承諾(譲渡に関する書面等による承諾)が得られなかったときに、売主に対して解除権を与えるケースが多いでしょう。

その他、買換え特約などが付される場合にも、その内容がここで説明されます。


損害賠償額の予定または違約金に関する事項

上の「契約の解除に関する事項」では、契約違反による解除について「契約の相手方が違反したとき、相当な期間を定めて催告をしたうえで解除できる」とのみ記載され、その際のペナルティなど詳細についてはこの項目で説明されます。

損害賠償額または違約金の予定額について、当事者間で任意に定めることも可能ですが、売主が宅地建物取引業者の場合には売買金額の20%までに制限されます。なお、「当事者間で定める」とはいっても、実際にはあらかじめ「20%」などと印刷されているケースも多いでしょう。


金銭の貸借に関する事項

宅地建物取引業法による規定では、売主業者または媒介業者による住宅ローンの斡旋がある場合に記載される項目ですが、斡旋がない場合でも、買主との打ち合わせで確認した住宅ローンの申し込み内容を記載する業者が多くなっています。

「融資利用の特約」の対象となる住宅ローンについて、申し込み金融機関名(支店名またはローンセンター名まで)、申し込み金額、金利、借り入れ期間、返済方法(元利均等返済・元金均等返済など)、特約の期限、宅地建物取引業者による斡旋の有無などが説明されます。

ローンの借り入れに伴う事務手数料や保証料など、諸費用についても記載されていることが望ましいでしょう。

また、融資申し込み先が複数の場合には、それぞれの内容について個別に記載されているかどうかにも注意しなければなりません。

住宅ローンの申し込み内容の詳細が記載されず、たんに申し込み金額だけが書かれているような場合には、A銀行がダメならB銀行、それもダメならさらにCへと次第に借り入れ条件の悪いところ(審査の甘いところ)へ申し込み先を変えさせるような宅地建物取引業者もあるようです。

当然、当初の資金計画も狂いますから、このようなたらい回しを避けるためにも借り入れ条件をあらかじめ明確にしておくことが必要です。

「斡旋はしないから」という理由でこの項目に詳細が記載されない場合でも、担当者との打ち合わせにおいて、住宅ローンの申し込み内容を明確にしておくことは欠かせません。


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