【ガイドの不動産売買基礎講座 No.106】

重要事項説明書について、前回は不動産の表示や登記記録に関するポイントを説明しました。引き続き今回は、法令に基づく制限や道路に関する事項、施設の状況に関する事項などについてみていくことにしましょう。


法令に基づく制限の概要

まず、都市計画法建築基準法による制限の概要を説明されますが、いずれも普段は馴染みのない法令であり、なかなか理解しづらい部分かもしれません。多くの場合は「重要事項説明書補足資料」などに記載された図表などを用いながら、制限内容の説明が進められます。

売買対象の建物が現行の法令に適合していない場合(既存不適格建築物)、あるいは法令に違反して建築されている場合には、補足事項欄(備考欄)にその旨が記載されますが、そのようなときには金融機関による住宅ローン審査に影響を及ぼすこともあるため注意が必要です。

都市計画法による市街化調整区域内の土地の場合、以前は「既存宅地」という制度があり、従前から建物があれば同等の建物への建て替えが可能でした。

ところが、2001年5月18日の法改正で「既存宅地」制度は廃止されています。建て替えが可能かどうかは、原則として許可を受けるまでは分からないので安心できません。

マンション購入の場合には、制限の内容がよく分からなくてもあまり差し支えないことが多いでしょう。しかし、土地や一戸建て住宅を購入する場合には、それぞれの制限内容を十分に理解することが大切です。

とはいえ、宅地建物取引士による説明だけでは不十分な場合もあります。とくに、土地を購入して新たに住宅を建築する予定の場合には、買主側の基本的な条件を明確にし、それに適合する土地かどうかについて十分に確認するようにしましょう。


その他の法令に基づく制限の概要

都市計画法と建築基準法以外の法令(2017年現在、37種類が指定されています)による制限のうち、対象不動産に適用される制限の概要が説明されます。該当する法令がある場合には、建築前の許可や届出に関する事項が多いため、十分な説明を受けることが欠かせません。


敷地と道路の関係

敷地が接する道路の種類・幅員および接道の長さなどが説明されます。道路の種類や接道状況によっては、その敷地に建物を建築することができない(建築確認を取得できない)ため、土地の利用に関してとても重要な部分です。

接面道路の幅員が4m(指定地域では6m)未満の場合には、道路と敷地の境界線を後退(セットバック)させなければならず、建築確認の対象面積もそのぶん減少しますから、詳細な説明を受けることが必要です。


私道の負担に関する事項

私道の負担がある場合、その負担方法にはさまざまな形態があり、通行に関して問題を生じるときもあるので注意しなければなりません。毎月、維持管理のための負担金が徴収されるケースもあります。

対象不動産に私道の負担がないと、単に「負担なし」で説明を終わらせてしまう宅地建物取引士もいるでしょうが、接面道路が私道なのにその負担や持分がないと、逆にやっかいな問題を生じることになりかねません。

そのようなケースでは、その私道の通行に関する条件、上下水道・ガス管などの埋設に関する条件などを詳細に確認しておくことが大切です。


飲用水・ガス・電気の供給施設および排水施設の整備状況

すでに各施設の整備が終わっている場合(中古物件の場合を含む)には、主に配管の状況が説明されます。これから整備される場合には、その予定時期や負担金などについて詳細に確認するようにしましょう。

建売住宅などで水道設備を新設した場合、水道局などに対して分担金(水道加入金)の納入が必要となることがあります。

この取り扱いは自治体によって異なりますが、本来は分担金が不要な地域の物件でありながら、当該名目の金銭を買主に要求する業者もまれに存在しますから気をつけなければなりません。

水道やガスなどの配管が他人の敷地を通って埋設されていたり、逆に対象物件の敷地に他人の配管が埋設されていたりするケースも意外と多いものです。これらの配管が近隣トラブルの原因となることもありますから、配管の位置などについても十分な説明を受けるようにしましょう。

プロパンガスの場合において、住宅を購入した後も宅内のガス配管設備の所有権がプロパンガス販売業者にあるケースも少なくありません。このようなときはその旨が説明されることになっていますが、説明漏れが生じる可能性もありますから、十分に気をつけたいものです。


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