不動産売買の法律・制度/不動産売買の法制度

重要事項説明の対象となる不動産の法律

不動産の契約の前には宅地建物取引士が「重要事項説明」をすることになっていますが、その対象となる法律がどれくらいあるかご存知でしょうか。あまり該当する物件がないものも含め、規定された法律を挙げてみました。(2016年改訂版、初出:2003年4月)

執筆者:平野 雅之

【ガイドの不動産売買基礎講座 No.48】

不動産の契約をする前には宅地建物取引士が重要事項説明をします。その際に使われる重要事項説明書には、よく分からない法律がいっぱい羅列されていることもあるでしょう。

これらのうち都市計画法建築基準法は、都市部であればほとんどの不動産が該当します。そのほかに、宅地造成等規制法、土地区画整理法も該当するケースが比較的多いものです。

しかし、それ以外にも宅地建物取引業法によって「該当する場合には説明をするもの」として規定されている法律がいくつもあるのです。

どのような法律が宅地建物取引業法で規定されているのか、まずは説明対象となる法律名を並べてみることにしましょう。

□ 都市計画法
□ 建築基準法
□ 古都保存法
□ 都市緑地法
□ 生産緑地法
□ 特定空港周辺特別措置法
□ 景観法
□ 土地区画整理法
□ 大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法
□ 地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律
□ 被災市街地復興特別措置法
□ 新住宅市街地開発法
□ 新都市基盤整備法
□ 旧市街地改造法
□ 首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律
□ 近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律
□ 流通業務市街地整備法
□ 都市再開発法
□ 沿道整備法
□ 集落地域整備法
□ 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律
□ 地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律
□ 港湾法
□ 住宅地区改良法
□ 公有地拡大推進法
□ 農地法
□ 宅地造成等規制法
□ マンションの建替え等の円滑化に関する法律
□ 都市公園法
□ 自然公園法
□ 首都圏近郊緑地保全法
□ 近畿圏の保全区域の整備に関する法律
□ 都市の低炭素化の促進に関する法律
□ 下水道法
□ 河川法
□ 特定都市河川浸水被害対策法
□ 海岸法
□ 津波防災地域づくりに関する法律
□ 砂防法
□ 地すべり等防止法
□ 急傾斜地法
□ 土砂災害防止対策推進法
□ 森林法
□ 道路法
□ 全国新幹線鉄道整備法
□ 土地収用法
□ 文化財保護法
□ 航空法
□ 国土利用計画法
□ 廃棄物の処理及び清掃に関する法律
□ 土壌汚染対策法
□ 都市再生特別措置法
□ 地域再生法
□ 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律
□ 災害対策基本法
□ 東日本大震災復興特別区域法
□ 大規模災害からの復興に関する法律

おそらく大半の人が聞いたことのない法律もあるでしょう。実際のところ、これらの多くは重要事項説明でも「該当なし」で終わってしまうのですが……。

対象となる法律が増えすぎたために、国土交通省では重要事項説明書の体系を含めて見直しをする方針だという報道も2002年頃にあったのですが、その後の十数年で15種類ほどの法律が追加されています。

ところが、それでも「重要なものすべてを網羅しているわけではない」のが不動産の厄介なところかもしれません。その代表的なものが不動産に関する税法でしょう。

もちろん、お客様から聞かれれば不動産業者は「適切なアドバイス」をしなければならないわけですが、税法に関することは宅地建物取引士による重要事項説明の対象ではないのです。

税金についての質問への回答が、経験の浅い営業担当者からなされることもありますから、一定の注意が欠かせません。


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重要事項説明書をめぐる4つの問題点

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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