今回は不動産広告の表示に関する、ちょっと突っ込んだご質問をいただきました。
(千葉県浦安市 匿名希望 20代 男性)
そのため、80m以内が1分、81m超160m以内が2分といった表示になります。
さてご質問の件ですが、駅や公共施設などから物件までの距離を実際に器具を用いて測っているケースもあるとはいえ、正直なところ現地では測っていないことのほうが多いでしょう。だからといって、不動産業者がいい加減な徒歩時間を広告に書いているというわけでもありません。
広告上の徒歩時間はあくまでも目安にすぎない。実際の徒歩時間は自分のペースで歩いて確認!
まず、新築マンションや一戸建て住宅・土地の開発分譲物件などですが、このような物件ではプロジェクト企画などの段階で実際に現地の道のりを測っているケースも少なくありません。
しかし、1戸~数戸の小規模建売物件などでは、実際に現地で測るケースと、住宅地図上の計測で済ませるケースがあります。
地図上を転がして距離を測る器具もあり、坂道などを考慮しなくて済む広告用の距離として、机上でも割と正確に測定できるのです。
また、初めにこのご質問への回答をした当時には存在しませんでしたが、現在ではwebサイト上の地図で道のり距離を算出することもできるため、住宅地図ではなくwebを使うケースも多いでしょう。
しかし、迂回しなくてはならない箇所など住宅地図やwebサイトの地図だけでは判別できない部分もあり、現地をまったく知らないままに机上の計測だけで済ませれば、正確性に欠ける場合も否定できません。
問題が起きやすいのは中古物件のときです。本来なら中古物件であっても実際に現地で距離を測るべき、というのが正論とはいえ、現実はなかなかそうもいかないでしょう。
中古マンションの広告をする際には、新築分譲時のパンフレットなどを取り寄せてそこに記載された徒歩時間をそのまま転記する場合や、すでに売り出されている他の部屋の販売図面を参考にする場合もあります。
しかし、一戸建て住宅や土地の場合にはそのような資料もなく、歩測で正確性に欠ける数値を記載したり、近隣の事例から類推したり、あるいは売主から「だいたい○分」と聞いた数値をそのまま書いてしまったりするようなケースも残念ながらあるようです。
もちろん、毎回きちんと測っている不動産業者もあるでしょうが……。
新築分譲時のパンフレットなどがあるときでも、そこに記載された徒歩時間が間違っていたりしたときには、その事実が認識されないままに、間違った数値が延々と引き継がれてしまうこともあるようです。
また、広告作成時の誤植や入力ミスも決してないとはいえません。もちろん、意図的に実際よりも短い時間を記載すれば「違反広告」ですが、正しく原稿を書いたにもかかわらず、印刷業者が打ち間違えることもあります。
校正の際にその間違いを見落とした不動産業者の責任もあるのですが、ミスが重なって不適切な徒歩時間の表示が出回ってしまうこともあるでしょう。
そのような間違った広告を参考にして、他の不動産業者が別の広告を作成すると……ミスの連鎖が起きる可能性も否定できません。
消費者の立場からすれば、広告に記載された徒歩時間はあくまでも目安にとどめ、実際の徒歩時間の確認は自分で歩いてみるしかありません。広告のルールどおりに表示されたものでも、現実の徒歩時間のほうが長いケースが大半なのですから。
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