マンションを購入して区分所有者になれば、自動的に管理組合のメンバーとなりますが、その役員になることを敬遠する人も多いようです。
(東京都練馬区 田中さん 30代 男性)
言い換えれば、個人財産の集合体であり、共同生活の場でもありますから、その維持・管理や生活のルールづくりにあたって管理組合の果たす役割は非常に大きなものです。
また、管理に必要な業務は多岐にわたりますが、一から十まですべてを管理会社に委託できるものではなく、良好な居住環境を維持するためにも管理組合の積極的な活動が欠かせません。
マンションの良好な居住環境を維持するためにも、管理組合の積極的な活動が欠かせない
ご質問のように、毎日の仕事が忙しくせめて帰宅後や休日はゆっくり休みたいという人や、なかには休日すらほとんどないという人もいるでしょう。
あるいは、人付き合いが苦手で……という人もいるでしょうか?
管理組合の役員定数は管理規約によって定められますが、理事長(区分所有法では「管理者」と呼ばれますが、もちろん管理会社の管理員とは違います)のほか、副理事長、理事(会計担当理事、広報担当理事、その他理事)、監事などがおかれます。
また、副理事長以下は複数とすることが多く、役員総数は全体戸数の1割程度となるマンションが多いようです。つまり総戸数100戸のマンションなら、10名程度が役員となるでしょう。
役員の選出にあたっては、公募による場合、相互の推薦による場合、輪番制による場合、抽選による場合などもありますが、お互いの不公平感をなくすため輪番制を採用しているマンションが多いようです。
役員の任期は1年もしくは2年としているケースが多く、たとえば1年ごとの輪番制だとすれば、おおよそ10年に1回は役員の立場が回ってくることになります。小規模のマンションでは、全所有者に対する役員総数の割合も高く、もっと頻繁に任期が回ってくることも考えられます。
役員の選出が公募による場合で、他の区分所有者の中に積極的な人が何人かいれば、自分に役員の立場が回ってくる可能性は低くなるかもしれませんが、一人の中心的な人物の意見ばかりが通用して住みづらいマンションになってしまうことも考えられます。
実際にあった事例では、もとの地主が等価交換によって一部の住戸を取得したうえ、新築時から20年あまりずっと理事長を務めており、他の役員は形式だけのようでした。
そのため、他のマンションではあまり見かけないような規定が作られ、まるで理事長個人のマンションのようになっていたのです。
大規模マンションほど、一人ひとりの役割分担が大きいケースもある
ところが、ある大規模マンションでは通常の役員のほかに総務委員会、緑化委員会、清掃委員会、修繕委員会、広報委員会、IT委員会などを設置し、それぞれに委員長、副委員長、委員などを選任していました。
一般的には大規模マンションのほうが管理組合活動も活発であり、各個人が何らかの役割を担う機会が多いといえるかもしれません。
さらに、最近の大規模マンションでは住民同士のコミュニケーションを促進するため、料理教室や陶芸教室、テニスなどさまざまなサークル活動を運営しているところもあります。このようなマンションでは、それぞれのサークルで世話役となる人も必要でしょう。
管理組合の活動にはさまざまな法律の規定もあり、初めてのときには分からないことばかりかもしれません。
これを理解するためにも、また自分が購入したマンションの資産価値を守るためにも、お互いに気持ちよく生活するためにも、さらにイザというとき助け合うためにも、管理組合の活動には積極的に参加し、役員も自らすすんで引き受けたいものです。
また、役員になったからといって毎週のように時間を割かれるわけでもありません。
どうしても役員を引き受けることができないという、他の人も納得できる理由があればよいのですが、ただ「面倒だから」という理由だけで役員になることを拒んでいると、どうしても人付き合いがうまくいかないことになってしまうでしょう。
役員への就任を断ったからといって罰則規定があるわけではないのですが、同じ建物内に住む人同士で反目しあうことは避けたいものです。
それでも役員を務めるのは嫌だ、管理組合には参加したくないなどという場合には、マンションの購入はやめてずっと賃貸住宅暮らしをするか、あるいは一戸建て住宅の購入も検討してみてください。ただし、一戸建て住宅を購入した場合でも町内会や自治会などがありますが……。
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