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相続時精算課税制度と住宅取得資金の贈与(2ページ目)

マイホームの購入や新築・増改築のための資金を親から贈与されたときには、相続時精算課税制度の活用が選択肢となります。いったいどのような内容なのか、相続時精算課税制度や住宅取得に関する特例を知っておきましょう。(2014年改訂版、初出:2005年9月)

執筆者:平野 雅之


住宅取得資金贈与の非課税措置は年によって異なる

相続時精算課税制度では当初、一般の非課税枠に住宅取得資金の非課税枠(1,000万円)を上乗せする特例が設けられ、合わせて3,500万円までの贈与が認められていました。

しかし、この特例は平成21年12月31日をもって廃止され、現在は別の制度による「住宅取得等資金の贈与税の非課税措置」となっています。

平成20年からの急速な景気悪化を背景に、平成21年に500万円の非課税枠が設けられ(平成21年は相続時精算課税制度による住宅枠の1,000万円と重複適用可)、平成22年は1,500万円に拡大し、平成23年はこれが1,000万円となりました。

さらに、平成24年からは「省エネ等住宅」と「その他の住宅」で500万円の格差を設けた制度となり、平成26年まで継続されています。

ただし、非課税枠は年々縮小され、平成26年の住宅取得資金贈与における限度額は「省エネ等住宅」が1,000万円、「その他の住宅」が500万円となっています。

平成27年以降にこの制度が延長されるかどうかまだ分かりませんが、もし仮に延長される場合でも、その内容が大きく見直されることがありますから、平成27年以降に贈与を受ける場合には変更内容に注意しなければなりません。

ちなみに、相続時精算課税制度では父母それぞれに適用して合計5,000万円を非課税枠とすることもできますが、住宅取得資金の非課税枠は受贈者1人につき500万円(または1,000万円)が限度です。


「住宅取得等資金の贈与税の非課税措置」の主な要件

住宅取得資金の贈与を受けたとき、それが一定金額(平成26年は500万円、省エネ等住宅なら1,000万円)以内であれば非課税とすることができます。

この金額を超える贈与のときは、暦年課税による基礎控除額(110万円)または相続時精算課税制度による特別控除額(2,500万円)を併用して合算することもできますが、とくに相続時精算課税制度の場合にはその適用要件も満たさなければなりません。

また、「住宅取得等資金の贈与税の非課税措置」には取得する住宅などについて一定の要件がありますから十分な注意が必要です。


【受贈者(贈与を受ける人)の要件】

  日本国内に住所があること
    ※ 贈与時点で国内に住所がなくても、日本国籍があり、受贈者もしくは贈与者が過去5年以内に日本国内に住所があれば認められます
 
  贈与を受けた年の1月1日時点で満20歳以上であること
 
  贈与者の直系卑属(子または孫)であること
    ※ 贈与者が配偶者の父母などのときは認められませんが、養子縁組をしているときは対象になります
    ※ 受贈者が孫のときは相続時精算課税制度の併用ができません(代襲相続の場合を除く)
    ※ 平成27年以降にこの制度が延長されたときには、受贈者が孫の場合でも相続時精算課税制度の併用ができるようになることが見込まれます
 
  贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること
 
  贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その資金の “全額” を、住宅用家屋の新築、取得(家屋とともにする敷地の取得を含む)、居住用家屋の増改築等に充てること
    ※ 敷地の取得には借地権の取得も含まれます
    ※ 敷地のみの取得は対象となりませんが、敷地の選考取得は認められます
    ※ 新築分譲マンションや建売住宅の場合には、贈与された年の翌年3月15日までに分譲主から引き渡しを受けていることが必要です
 
  贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること、または遅滞なく居住することが確実であると見込まれること
 
  配偶者や親族など一定の特別関係者から取得した家屋(その敷地を含む)、あるいは一定の特別関係者を請負人とする増改築工事などではないこと
 
  平成21年から23年の間に「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の特例」の適用を受けていないこと


【取得または増改築をする住宅の要件】

  登記上の床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下であること
 
  店舗併用住宅などの場合には、床面積の2分の1以上が自己の居住用であること
 
  中古住宅を取得する場合には、家屋が次のいずれかに該当すること
    ◯ 建築後使用されたことのない住宅用の家屋であること
    ◯ 取得日時点において、耐火建築物は建築後25年以内、非耐火建築物は建築後20年以内であること
    ◯ 地震に対する安全性の基準(耐震等級1相当以上)に適合することが、「耐震基準適合証明書」、「住宅性能評価書の写し」または「既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約が締結されていることを証する書類」で証明されたものであること
    ◯ 平成26年4月1日以降に購入し、入居するまでの間に一定の耐震改修工事を実施したものであること
 
  増改築等の場合には、増築・改築・大規模の修繕や模様替え、または耐震化を目的とした一定の工事に該当することについて、「確認済証の写し」「検査済証の写し」または「増改築等工事証明書」により証明されたものであること
 
  増改築等に要した費用が100万円以上であり、居住用部分の工事費が全体の2分の1以上であること


省エネ等住宅とは?

住宅取得資金贈与の非課税枠が500万円上乗せされる「省エネ等住宅」とは、省エネルギー対策等級が4相当であり、耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)が2以上であること、または免震建築物であることについて、一定の書類で証明されたものをいいます。

取得または増改築後の住宅がこれに該当するかどうかは、売主業者または工事を発注するハウスメーカー、工務店などに確認してください。


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