住宅を購入するときなど、売買代金以外に必要な諸費用を事前にしっかり把握しておくことが欠かせない
資金計画で失敗しないためには、諸費用についてあらかじめしっかりと把握しておかなければなりません。
実際にかかる金額は物件ごとに大きく異なりますから一概にはいえない部分も多く、なかなか具体的な金額を提示できないのですが、それぞれの諸費用に関するポイントを整理しておくことにしましょう。
〔一般的な物件における購入諸費用のおおよその目安〕
新築分譲マンション | 売買価格の3~5% |
新築分譲一戸建て住宅 | 売買価格の4~5% |
中古住宅 | 売買価格の6~10% |
住宅取得にかかる税金
住宅の税金というと売却したときのことを考えがちですが、購入などによる取得のときにも課税されます。これらの諸費用については自分でも事前によく調べるほか、もし可能であれば税理士など第三者にあらかじめ明確な試算をしてもらったほうがよいでしょう。□ 登録免許税(国税)
土地の所有権移転登記、家屋の所有権保存登記(新築)や所有権移転登記(中古)、住宅ローンに対する抵当権の設定登記などを申請するときに登録免許税が課税されます。
個人が2020年3月31日までに購入または新築した居住用家屋には軽減税率が適用されることになっているほか、2019年3月31日までに取得した土地にも特例税率が適用されます。
※ 参照 ≪登録免許税を正しく理解しよう!≫
□ 不動産取得税(都道府県税)
住宅用家屋とその敷地には軽減措置があり、実質的に課税されないケースもあります。軽減措置を受けるためには、取得後一定期間内(自治体により異なります)に、取得した不動産を管轄する都道府県税事務所などへ申告書を提出することが原則です。
課税される場合には、一連の取引が終わりしばらく経ってから納税することになるため、そのときになって慌てることがないようにしなければなりません。
※ 参照 ≪不動産取得税は軽減措置が重要!≫
□ 印紙税(国税)
住宅や土地の売買契約書、建築工事請負契約書、金銭消費貸借契約書(住宅ローンの契約書)などには印紙税が課税されます。売買金額や請負金額、借入れ金額によって税額は異なりますが、2018年3月31日までの売買契約書および請負契約書には軽減措置が講じられています。
※ 参照 ≪住宅購入時の印紙税について知っておこう≫
□ 消費税
宅地建物取引業者など消費税の課税業者が売主の場合には、売買金額のうち建物部分に対して消費税が課税されます。また、建物の建築工事請負金額や、宅地建物取引業者、金融機関、司法書士、土地家屋調査士などへ支払う各種の手数料(報酬)についても消費税が課税されます。
※ 参照 ≪「住宅購入と消費税」知っておくべきポイント≫
□ 贈与税(国税)
年間の基礎控除額である110万円を超える金銭の贈与を受けた場合、または「相続税評価額」が110万円を超える土地や建物を贈与によって取得した場合などには贈与税が課税されます。
ただし、相続時精算課税制度を利用すれば、2,500万円までの贈与については贈与時に課税されず、実際に相続が生じたときにまとめて計算されることになります。また、2021年12月31日までの住宅取得資金の贈与については、一定の非課税枠が設けられています。
□ 相続税(国税)
基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える相続があったときには相続税が課税されますが、相続財産の中に不動産があった場合は一定の評価方法によって価格が算定されることになり、時価よりも低くなることが一般的です。
相続人の中の一部の人が不動産を相続することによって取得財産に不均衡が生じたときには、金銭によってそれを解消しなければならない場合もあるでしょう。
※ 参照 ≪覚えておきたい相続と贈与の基本≫
住宅取得にかかる各種の手数料など
住宅を取得するときには、宅地建物取引業者に対する媒介手数料のほか、登記申請手続きを依頼する司法書士への報酬などの諸費用も必要となります。□ 媒介手数料
宅地建物取引業者の媒介によって住宅を購入するときには、媒介手数料が必要となります。新築物件を購入するときなど、宅地建物取引業者が売主となり、その売主との間で直接に契約をする場合には媒介手数料が不要で、販売代理業者の場合も不要のことが多いでしょう。
ただし、新築一戸建て住宅(建売物件)の場合には宅地建物取引業者が媒介をすることも多いものです。中古物件を購入するときにはたいてい媒介手数料が必要となり、契約時に半金、決済時に残りの半金を支払うケースが大半です。
※ 参照 ≪不動産会社へ支払う仲介手数料の基礎知識≫
□ 司法書士報酬
登記申請手続きを司法書士に代行してもらうための報酬で、登録免許税とは別の費用です。依頼する司法書士や物件によってだいぶ異なり、交通費なども加算されますから、少し多めに考えておくことが必要です。
(6万円~12万円程度)
□ 土地家屋調査士報酬
新築建物の表示に関する登記をするための建物測量費用を含む報酬で、依頼する土地家屋調査士や物件によって異なります。また、土地の確定測量や現況測量をするとき、分筆または合筆をするときにも土地家屋調査士(または測量士)への報酬が必要となります。
なお、新築マンションの場合にはデベロッパーが一括してすべての部屋の表示に関する登記手続きをしますが、その費用が買主に請求される場合とされない場合があるようです。
(10万円程度…新築一戸建て住宅の場合)
□ 手付金
売買代金の5%~20%に相当する手付金を売買契約締結時に支払いますが、これは決済時に売買代金へ充当されますから、購入諸費用とは別に考えます。しかし、資金計画のうえでは重要な部分でしょう。
売主が宅地建物取引業者の場合(媒介業者の有無にかかわらず)、未完成物件で売買価格の5%(または1,000万円)、完成物件(新築完成済または中古)で売買価格の10%(または1,000万円)を超える手付金を支払うときには、必ず保全措置を確認しなければなりません。
□ 申込み証拠金/予約金
新築物件の購入を申込むとき(とくに新築分譲マンションのとき)には、10万円程度の申込み証拠金を支払うことが多くなっています。これは売買契約の締結に至らなければ必ず返還されるべき性質のお金で、売買契約をすれば通常はそのまま手付金に充当されます。
page1 ≪住宅取得にかかる税金や各種の手数料など≫
page2 ≪住宅ローン申込み・借入れに伴う諸費用≫
page3 ≪その他の諸費用≫
page4 ≪土地を購入して家を建てるときの諸費用≫