コース料理の全貌
|
通常は月あかりコースでのみ利用可能な囲炉裏部屋。 |
料理のコースは、朝霧コースが5,250円(税込)、夕暮れコースが8,400円(税込)、月あかりコースが12,600円(税込)となっていて、これにサービス料が各15%。コースの違いは朝霧コースが鍋の付かない内容で、夕暮れコースと月あかりコースの違いは食材の差と、囲炉裏部屋の有無です。囲炉裏部屋で食事をされたい場合は、月あかりコースのみとなります。今回は囲炉裏のある「大原の間」にて期間限定(2008年4月末まで)の囲炉裏部屋コースです。
・お通し
|
柚子酒とポン酢の和え物 |
まずは、さっぱりと柚子酒とポン酢の和え物が供されます。柚子酒は馬路産の柚子と、室戸海洋深層水、それに清酒で作られており、爽やかでクリアな飲み心地。
合わせるのは「ひね鶏(親鶏)」のもも肉をポン酢で和えたもの。
こちらは、近江シャモ(雌)らしい強い食感が印象的な一皿です。
・前菜
|
「そら豆の白和え」「地鶏の燻製」「春野菜のてんぷら」 |
続いての料理は「そら豆の白和え」と「地鶏の燻製(ささみと砂ずり)」、それに「春野菜のてんぷら(タラの芽、蕗のとう、そら豆)」の盛り合わせ。
「地鶏の燻製」は凝縮された旨味が噛むごとに口の中で走り、酒を誘います。軽やかに揚げられた春の薫り高い天ぷらも、大原ならではのご馳走。これを外の景観を眺めながら食べると、これまた格別なのです。
・巨大生椎茸 ポン酢で
|
採りたての生椎茸。 |
これは事前にリクエストしておいた春子(春の椎茸)。前述した通り、この生椎茸も自家栽培されており、まさに採りたてが供されます! これをこれまた自家製の炭火を使って、軽く炙ると、もうそれだけで香りの際立つ逸品へと早変わり。生でも食したくなる美味しさですが、炭火で火を通すことで香ばしさが拡充し、へたな松茸よりも遙かに美味たる味わいとなります。
|
上面を軽く炙るだけで香りが際立ちます。 |
尚、この日はまだ春と呼べる季節ではなかつたのですが、訪問する前日に雨が降ったことで椎茸が成長し、今回、このような巨大な生椎茸が食せたというわけです。今の季節(春)なれば、(リクエストさえしておけば)もう雨の心配なく食すことができるでしょう。大原のテロワールを存分に感じさせてくれる、贅沢な一皿でした。
・近江シャモ(雌)のお造り
|
近江シャモのお造り。 |
続いて、登場したのは、近江シャモ(雌)の刺身盛り合わせ! これはもう何の説明もいりませんね。最高クラスの近江シャモ(雌)の刺身が旨くないわけがありません。各部位(胸肉、もも肉、ささみ、心臓、肝、砂ずり)は、鮮度・質ともに素晴らしいの一言。食べる度に、溜息さえ漏れるほどの官能的な肉感と、溢れ拡がる旨味は、刺身だからこそ、堪能できる賜物です。
|
6種類の塩が用意されています。 |
尚、驚いたのは、この刺身には生姜醤油以外にも、「ロシア シベリア産」「ブルターニュ産」「アンデス紅塩」、「栗国粗塩」「宮古島粉塩」「五島灘藻塩」の合計6種類の塩が用意されているという点。
まずは塩を試食し、塩の味を覚えるところから始め、続いて各部位に合うであろう塩を選択して食すわけです。ここで塩の選択を見誤ると、せっかくの刺身に申し訳がないですから、かなり慎重になります。自分で塩を選ぶわけですから少し食べるのに時間がかかりますが、こういった食べ手に選択肢を与えてくださるという演出は、大変面白いと思います。他の飲食店(例えば焼肉など)でも、これは真似してほしいですね。
・岩魚の塩焼き
|
囲炉裏で焼いた岩魚は格別です。 |
続いては、囲炉裏の炭火で焼いた焼き魚。囲炉裏が目の前にあるというだけでも風情完璧ですが、外には山の景色を眺めながら地元の川魚を炭火で焼きながら頂くと、もうここが京都だということを完全に忘却しますね。京都の洛中からほんの少し車で移動する距離にありながら、すっかりと旅行気分まで味わえてしまうのは嬉しい限り。
・宮崎産筍の木の芽焼き
|
宮崎産筍の木の芽焼き |
京都産はまだ出回っていないので、この日は宮崎産が木の芽の香りに包まれて供されます。絶妙な焼き加減が施されており、芯まで柔らかく、そして甘い。しなやかに優しく聞こえてくるソネットのような、春の味音を存分に感じられた一皿でした。