和菓子（甘味処）特集(2ページ目)

三丘園 京綾小路店

三丘園の外観。町家の並ぶ街並みに静かに佇んでいます。

明治20年(1887)ごろ建てられた、築約120年の町家は京都独特の典型的な「ウナギの寝床」。部屋は坪庭を挟んで手前の通り側に２室、奥に２室の計４室が縦に並んでいます。この町家をまったく改装することなく磨き込んでそのまま保存しつつ「喫茶処」として一般に開放されているのが、ここ「三丘園」。

もし、運良く混んでいない時間帯に訪れることができれば、迷わず坪庭に面した奥座敷に陣取りましょう。充分な広さの坪庭の真ん中には中国の古い貨幣をかたどった蹲（つくばい）が、この町家の要のような存在感を持って鎮座しています。

凛として空気が漂う中庭。

明治、大正、それから戦前の昭和の時代にも、この季節ここに座って同じ坪庭を眺めていた麗人がいたことでしょう。これほど何も変えずに磨き込んで保存してある町家に、これほどゆったりとこの家の客のように座っていられる空間は京都でもまずありません。

豪勢ではないけれど、心まで磨かれたような気持ちになれるこの空間。また数十年後に訪れた時にもどうか変わらないでいて、と祈りたくなるのは私だけではないでしょう。

オススメの逸品達

◇「抹茶チーズケーキセット」

抹茶の芳香が愉しめるまろやかなチーズケーキ。「蕨餅」も付き。

抹茶のビター感漂う薫香の中に、はんなりとした甘味が溢れ出し、チーズと抹茶という国境を越えた運命的な出会いが、芳醇なマリアージュを生み出します。また、口の中に入れた瞬間に「ほわほわ」と溶け出す滑らかな食感覚も印象的。

端に添えられた丹波の白小豆は、とても上品な甘さに仕上げられており、食べ飽きません。チーズケーキと合わせて食べてもいいですが、これだけ単体で食べてもいいでしょう。


◇「抹茶わらび餅セット」

蕨餅には抹茶ロールケーキが付いています。

抹茶わらび餅セットはミニサイズの「抹茶ロールケーキ」付き。厳選された抹茶のみで仕上げられた抹茶わらび餅は、最初に来る「甘さ」の後に、じわじわと香りが立ち上ってきます。角張ったフォルムと「ぽよん」とした食感は、まるで抹茶羊羹のようです。

抹茶の芳香が愉しめる抹茶ロール。

抹茶ロールは見た目のずっしり感とは違い、とてもエアリーで軽やかな風味。こちらも抹茶わらび餅同様に、厳選された抹茶の香り高さが小麦粉と混ざり合い、口いっぱいに口福な余韻を残していきます。

やはり、お茶と言えば「焙じ茶」ですね。

これに合わせるのは抹茶も良いですが、麻生的には飲みやすくあっさり風味の「ほうじ茶」を推奨です。


◇「ほうじ茶ゼリーセット」

ぷるるん食感が好きな人には是非ともオススメしたい逸品。

スイーツでもっともよく使われる和素材と言えば「抹茶」ですが、意外に「ほうじ茶」も京都では多用されます。例えば「びすとろ希味」の「焙じ茶アイス」。このアイスクリームの濃厚なコクと、しっとりとした舌触りは他に類を見ない傑作品ですが、それに並ぶであろう作品が、この「ほうじ茶」ゼリー。抹茶ではなく、「ほうじ茶」を使うところが茶の故郷「京都」ならではの通好みセンス。また、ゼリーというよりは「スライム」のような脅威的なレベルの「ぷるるん感」も独特の魅力で、これはぷるぷる好きな方には堪らないでしょう！　数ある茶菓子の中でも、麻生イチオシのセットです。

訪問のポイント

出来れば、この空間を一人占めしたいものですね。

この店には是非、ガラス戸を開放する夏の暑い時期に、団扇を片手に訪問してみてください。風情満点です。



＜DATA＞
・店名： 三丘園 京綾小路店
・所在地：京都府京都市下京区綾小路通新町西入る矢田町123
・アクセス：阪急「烏丸駅」から徒歩約5分
・地図：Yahoo!地図
・TEL：075-351-3361
・営業時間：11:00～17:30（LO）
・定休日：木曜・年始年末
・備考：　夏限定のほうじ茶ゼリーがオススメ。