雛人形(ひな人形)と婚期って本当に関係があるの?
「お雛様を早く片付けないと嫁に行き遅れますよ」雛祭り(桃の節句)によく耳にするセリフですが、この何気ない母のセリフに、幼い女心は動揺します。そんなの迷信だと分かっていても、年頃になれば嫌味に聞こえ……。では、なぜこんなことを言うのでしょう? その謎をすっきりさせます。
「お雛様を早く片付けないと嫁に行き遅れますよ」の理由
ひな祭りの後、ひな人形を早く片付けないと嫁に行き遅れると言う理由には、主に3つの説があります。■厄払い説
雛祭りは、古代中国の厄払い行事である上巳の節句、「人形(ひとがた)」に穢れをうつして流す風習、小さな人形をつかった雛遊びなどが結びついて成立したものです。
現在でも流し雛をする地域がありますが(もちろん、あの豪華な雛人形ではなく、藁や紙でできた雛人形です)、雛人形にその子の厄や災いを移すという考えから、厄を移した人形をいつまでも身近におかず、早く片付けて災いを遠ざけたほうが良いと考えました。
■しつけ説
雛人形はいつまでも眺めていたいものですし、いざ片付けるとなると面倒でしょう。しかし、片付けも満足にできないようではきちんとした女性になれず、いいお嫁さんにもなれません。そこで「お雛さまを早く片付けないと嫁に行き遅れますよ」と言って、しつけました。
■結婚象徴説
早く飾り出すと「早く嫁に出す」、早くしまうほど「早く片付く(嫁に行く)」。雛人形は婚礼の様子を表しているので、飾る時期を娘の結婚になぞらえました。
お雛様はいつ片付ければいいの? 片付けられない時は裏技を
「お雛様を早く片付けないと嫁に行き遅れますよ」と言われるようになった理由にはいくつかの説があるにせよ、いずれも娘の幸せを願う親ごころなんですね。このような意を汲んで片付けをするのなら、雛祭りの後、早めに片付けましょう。3月3日の晩、翌日の4日が目安です。すぐにしまえない場合、お雛様を後ろ向きにして飾り「お帰りになった」「眠っていらっしゃる」と解釈する方法もあります。ただし、天気がよく乾燥した日にしまわないとカビの原因になりますから、雨の日などは避けましょう。
気にせずに飾っておいても構いませんが、季節の節目という意味では3月中旬ごろまでには片付けたいところです。その場合、春分(3月21日頃)がひとつの目安になります。また、旧暦で雛祭りを祝う地方や、旧暦3月3日まで飾っておく地方もあります。
迷ったら、意味を知って判断すると気持ちがいい!
どうしようかと迷ったら、自分に合った方法を採用すると、行動しやすく気持ちがいいと思います。決まりがあるわけではないけれど、意味を知ると、判断しやすくなるのです。早くしまわせたいからって、婚期うんぬんを引き合いに出さなくてもいいじゃない……なんて思うなかれ。そのセリフに隠された娘を思う気持ちを読み取れるようになったら、素敵なレディに成長したということかもしれません。
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