月でうさぎが餅つきをしている理由や由来
お月見といえば中秋の名月/十五夜ですが、この日に限らず、月を眺めていると心が和みます。何気なく見上げた夜空。輝く月……そんなときふっと思い浮かぶのが「月うさぎ」。月でお餅をついているという、あの月うさぎです。<目次>
月の模様のどこが「うさぎの餅つき」かわかりますか?
月を眺める4人組。こんな会話が交わされています。A君 「月うさぎって2匹いる?」
Bさん「えっ、私は1匹だと思うけど」
C君 「オレ、どうしてもウサギが見つからない」
Dさん「私には、たぬきにしか見えないけど」
Bさん「だって、あの黒いところが臼で……」
C君 「白い所を見るんじゃないの!?」
あなただったら、何と言うでしょう?
月の模様の見方って? 確かに月うさぎはお餅をついている
意外とあやふやな月うさぎの存在。人それぞれ自分の思い込みが強く、誰に聞いても結局はっきりわからないというパターンも多いようです。それでは、ここでスッキリさせましょう。この画像が「月うさぎ」です。
意外と知らない! 月でうさぎが餅をついている理由
月でうさぎが餅をついているのはなぜ?
子 「ねぇねぇ、どうして月にうさぎがいるの? どうしてお餅をついているの?」
親 「……」
子 「ねぇ、どうして?」
親 「きっと、餅つきが好きなのよ」
子 「……」
これでは親の面目が立ちません。
■月うさぎの由来~月うさぎ伝説
月うさぎ伝説にも諸説ありますが、一番ポピュラーな要約バージョンをご紹介しましょう。
これは、仏教説話からきているお話です。『昔、あるところにウサギとキツネとサルがおりました。ある日、疲れ果てて食べ物を乞う老人に出会い、3匹は老人のために食べ物を集めました。サルは木の実を、キツネは魚をとってきましたが、ウサギは一生懸命頑張っても、何も持ってくることができませんでした。そこで悩んだウサギは、「私を食べてください」といって火の中にとびこみ、自分の身を老人に捧げたのです。実は、その老人とは、3匹の行いを試そうとした帝釈天(タイシャクテン)という神様。帝釈天は、そんなウサギを哀れみ、月の中に甦らせて、皆の手本にしたのです。』
また、このお話には続きがあり、『うさぎを憐れんだ老人が、その焼けた皮を剥いで月に映し、皮を剥がれたうさぎは生き返る』という説もあります。だから、月の白い部分ではなく、黒い部分がうさぎなんですね。
月でうさぎが餅つきをしているのはなぜ?
では、なぜ餅をついているのでしょうか?「うさぎが老人のために餅つきをしている」とか「うさぎが食べ物に困らないように」という説がありますが、中秋の名月が豊穣祝いであることを考えると、たくさんのお米がとれたことに感謝する意が込められているようです。
月うさぎは万国共通ではない、海外では?
お月見をしながら、国籍の違う3人がこんな話をしています。日本のAさん 「月うさぎって、結構泣かせるわよね」
モンゴルのBさん 「違うよ。あれは犬だよ。嘘をつくと月の犬が吠えるんだ」
アラビアのCさん 「いいえ。あれはライオンが吠えているのさ」
三人三様の言い分ですが、これはどれも正しいのです。
日本以外では月の模様をどう見るの?
月は地球に対していつも同じ面を向けて回っているので、世界中どこで見ても同じ表面を見ています(見える角度に多少の違いはありますが)。しかし、月の模様をどう捉えるかは国によって様々です。月の黒い部分を「カニ」に見立てる国が結構多い |
欧米では「女性の横顔」だといわれていますし、インドネシアでは「編物をしている女の人」、ベトナムは「木の下で休む男の人」、オーストリアでは「男性が灯りを点けたり消したりしている」のだそうです。他にも、「本を読むおばあさん」「ワニ」「ロバ」など実に様々。おもしろいですよ!
こちらは月の白い部分を見てイメージしている「女性の横顔」 |
- 日本=餅をつくうさぎ
- 韓国=餅をつくうさぎ
- 中国=薬草を挽くうさぎ
- 中国の一部=大きなハサミのカニ
- モンゴル=イヌ
- インドネシア=編み物をしている女性
- ベトナム=木の下で休む男性
- インド=ワニ
- オーストリア=男性が灯りを点けたり消したりしている
- カナダの先住民=バケツを運ぶ少女
- 中南米=ロバ
- 北ヨーロッパ=本を読むおばあさん
- 南ヨーロッパ=大きなはさみのカニ
- 東ヨーロッパ=女性の横顔
- アラビア=吠えているライオン
- ドイツ=薪をかつぐ男
- バイキング=水をかつぐ男女
うさぎから女性の横顔まで、眺める楽しみが増えました!
地球から月までの距離は約384,400km。肉眼で月の表面が見えるわけですから、すごいことですよね。ススキや月見団子を供えてお月見をしたり、仕事帰りに立ち止まって月を眺めたり……。月うさぎに思いをはせながら、十五夜の月をゆっくりと愛でてみてはいかがでしょうか。