世界ナンバー1になるために
セミナーでのイアン・モリソン氏 |
2005年、ザ・マッカランが従来のシェリー樽熟成原酒にバーボン樽での熟成原酒をヴァッティングしたファインオーク・シリーズを発売した。そのときバーテンダーをはじめファンの間からなぜそんな製品を出すのか、「コモンオーク(スパニッシュオーク)のシェリー樽だからこそザ・マッカランなのでは」といった言葉が聞かれた。
たしかにわからなくはない。だがわたしの個人的な意見を述べると、ファインオークの開発は新しい香味を生み出して企業として成長するため、グレンフィディックを抜いて世界ナンバー1を目指すために他ならない。ザ・マッカランに限らず、世界に知られたメーカーならばナンバー1を目指しているはずだ。
そしてこれが世界品質のウイスキーづくりだとも思う。
従来のコモンオークにオロロソシェリーを寝かせた樽をつかったつくりを怠っているわけでもない。ウイスキー飲みはどうも頑なところがあり、変化を好まず、懐古趣味に陥りやすい。ボランティアでウイスキーをつくっている訳ではない。利益を出さなければ、進化しようもない。
ファーストフィルのパワー
ザ・マッカラン グランレゼルバ12年 |
わたしは9月18日に国際フォーラムで開かれた三陽物産主催のモダンモルトウイスキーマーケットで、マッカランのブレンダー、イアン・モリソン氏のセミナーを聞きながらテイスティングした。
香味は複雑でパワフル。スパイシーでジンジャーや柑橘系、チョコレートといった余韻を愉しめる。原酒のほとんどがコモンオークにオロロソシェリーを寝かせた後のファーストフィル。テイスティングしてすぐにそれがわかる。つやのある樽香をしっかりと感じ、口に含めばコモンオークという樹種特有のパワーを感じる。
ワインでも樽香を好む人にはこの一瓶をおすすめする。またスタンダードなザ・マッカランと飲み比べると面白いだろう。では次ページではグレンモーレンジ シグネットを紹介しよう。(次頁へつづく)
(次頁へつづく)