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モルトウイスキー サウンドギャラリー 白州の森に、UAの歌声が響く

5月14日(土)、サントリー白州蒸溜所でUAのライブがあった。昨年も紹介したサウンドギャラリーである。北杜12年のハーフロックを飲みながらのライブはなかなか幻想的で、非常に豊かでクリアな気持ちとなった。

協力:サントリー
達磨 信

執筆者:達磨 信

ウイスキー&バーガイド

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ライブ
UAさんのダイナミックな歌声が白州蒸溜室に響きわたった。

ゴールデン・ウィーク明けは面白い体験をした。
いま私はウイスキーの熟成樽の勉強をしている。5月9日~13日の5日間は和製樽について学ぶために北海道へ出かけた。日本のオークであるミズナラの原生林を歩き、ウイスキー樽となるミズナラの木の製材を見学した。
これに関しての記事は6月中旬頃に発信する予定だが、なかなか興味深い取材調査だった。だが面白いといったのはこのことではない。

北海道での最終日の13日、私はニッカの余市蒸溜所を訪ねた。そして翌14日の土曜日はなんと山梨県北杜市にあるサントリーの白州蒸溜所にいた。

スコットランドならわかる。スペイサイドやアイラ島に行けば毎日どっかの蒸溜所を訪ねられるし、また一日にいくつかの蒸溜所を巡ることも可能だ。ところが日本ではそうはいかない。蒸溜所数がまず少ないし、それぞれの場所が離れている。

余市の翌日に白州にいることが我ながら奇妙で、移動距離の凄まじさをしみじみと思うとともに、俺っていったい何をやってんだ、と焦燥感とも寂寞とも、うまくたとえられない感情があった。
今年の5月の北海道は寒く、その中をひとりで移動していたのでいつの間にか孤独が心を支配してしまったらしい。旅情も手伝ってか、つい自分の生き方なんぞを見つめ直してしまったんだな。

三位一体の非日常

白州蒸溜所ではサウンドギャラリーが開かれ、UA(ううあ)さんのライブに招かれたからなのだが、何のことはない、蒸溜所に着いて15分もすると奇妙な感情はどっかへ飛んで行った。

白州の森の清々しい空気にふれ、新緑を目にしたら、気持ちはしだいに晴れやかになった。ポットスチル(蒸溜器)が立ち並ぶライブ会場に入り、場内に特設されたバー・カウンターで北杜12年のハーフ・ロックを手にして席に着き、ゆっくりと嘗めている間に前日まで北海道にいたことが嘘のように思えてくる。

UAさんのライブはパーカッション、ギター、スティールドラム、テューバ、笛といったアコースティック編成だった。
白いショールを身にまとった彼女は、いつもとは随分と異なるアレンジで歌い上げた。ソウルフルでありながら非常にプリミティブな感覚がブレンドされている。

森の蒸溜室でのライブ、伸びやかな歌声、ピュアモルトの北杜12年の優しい香味が三位一体となり、ネイチャーで幻想的な非日常の世界へ誘う。
つい数十分前までの心のわだかまり、しこりといったものが溶解され、浄化されていく。
都市のバーやライブハウスでの空気間とはまるで異なる酔い心地だ。気持ちがほぐれ、精神が澄んでいく。(次頁へつづく)
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