賛美歌にバッカスが微笑む。
このライブでは6月22日(火)に新発売されるピュアモルトウイスキー北杜12年のお披露目もあった。
白州のモルト原酒がキーモルトで、竹炭ろ過をおこなっているらしい。すっきりとした香味とマイルドな飲み口を謳っている。私の印象としては「肩の凝らないモルトウイスキー」といった表現になるか。
660ml、アルコール度数40%で価格は2,450円。手頃な価格のこの1本は蘊蓄を傾けながらというより、仲間と愉しく、あるいは家庭で気軽にといった大衆派だ。おそらくいま人気のダイニング・バーと呼ばれる店で料理とともにスィーッと飲むのが一番だろう。
北杜(ほくと)の名だが、白州蒸溜所のある山梨県北巨摩郡白州町を含む7町村が今年11月に合併し、北杜市が誕生する。その新しい市の名を冠したものだ。
なんと私は蒸溜室のライブ会場に着いていきなりカウンターに向かい北杜12年のハーフロックを1杯。小沼さんのギターを聞きながら白州12年を1杯。20分の休憩時間に北杜と白州を1杯ずつ。そして畠山さんと小沼さんのセッションを聞きながらまた北杜と白州を1杯ずつと、ほんの1時間30分の間に合計6杯も飲んでしまった。ちょっと過ごした。
最初に贅沢な時間といったが、蒸溜室という独特の空間と素敵な音楽がウイスキーの心地よさを増幅させたようだ。
とくに最後に歌われた『Amazing Grace』。直訳すれば“驚くべき神の恩寵”とでも言うのだろうか。最初のフレーズはこうだ。「Amazing Grace,how sweet the sound」。下手な訳で申し訳ないが、「アメージング・グレース なんとその素晴らしき響き」といったことになるだろう。
大麦が仕込まれ、蒸溜され、ウイスキーというスピリッツが生まれる。大いなる大地の恵みが蒸溜を経て新しい生命の水となる。酒神が宿った水である。その水に人々は憩う。すべては神の恩寵。
畠山さんが「how sweet the sound」と澄んだ声で歌いはじめた時、ポットスチルが輝きを増したような気がした。それは酒神の微笑みのように思えた。
ライブの今後の予定、応募に関してはウイスキー サウンドギャラリーへアクセスしていただきたい。
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