"わざわざお店"。老舗のうなぎ屋「尾花」

 
午前11時。私は南千住の駅に立っていました。再開発により駅前には高層マンションが建ち、昔の工業地帯の面影は薄れつつあります。私にとって、南千住はあまり馴染みのない土地なのですが、ここへやってきたのには理由があるのです。ふと、とある老舗料理店の社長の言葉を思い出しました。「飲食店には“わざわざお店”と“たまたまお店”がある」。“わざわざ”その料理のために足を運ぶお店と“たまたま”あったから入る店。今回紹介するのはうなぎの名店、尾花。わざわざ足を運び、さらに並んででも、それに見合う価値があるのです。

 
店に到着したのは、11時10分。まだ開店前だというのに、すでに行列が。11時半ちょうど、そろりそろりと厳粛ささえも漂わせながらシャッターが上がって行きました。お客は順序よく店内へ。下足番さんに靴をあずけ、塗りの座卓が並んでいる大広間に案内されました。

「うなぎはお時間をいただくので追加のご注文はできませんが……」そう! こちらでは注文を受けてから捌くのです。ここへ来たからには時間のことは忘れて、「待つ」楽しみを味わいましょう。

もちろん、ただ「待つ」だけではありません。お供にはとびっきりのおつまみが。
次のページで紹介します。